2.9. モバイル機能の設定
2.9.1. モバイル機能概要
注釈
UNIVERGE IX-R シリーズではUSBデータ通信端末は利用できません。
注意
UNIVERGE IX-V シリーズではモバイル機能は利用できません。
2.9.2. 対応するデータ通信端末
データ通信端末
対応キャリア名
機種
対応バージョン
その他
EM7431
NTTドコモソフトバンクKDDI(au)IX-R2610
Ver.1.3 ~
※1
2.9.3. モバイル通信方式
UNIVERGE IX-Rシリーズではモバイル通信網に接続するために以下の通信方式を使用します。
NDIS(Network Driver Interface Specification)
データリンクにイーサネットを利用するブロードキャストインタフェースで、PPP方式よりも高速な通信が可能です。UNIVERGE IX-RシリーズではMobileEthernetインタフェースを使用し、IPアドレスはDHCPで取得します。
注釈
PPP(Point-to-Point Protocol)での接続はサポートしていません。
IPv4での接続のみ利用できます。IPv6はサポートしていません。
2.9.4. デバイス
機種
使用可能なデバイス
データ通信端末
IX-R2530
-
-
IX-R2520
-
-
IX-R2610
Module1
内蔵モジュール
以下のコマンドでデバイスの有効化、無効化、リセットを行うことができます。
項目
説明
no shutdown
データ通信端末の有効化(データ通信端末への給電ON)
shutdown
データ通信端末の無効化(データ通信端末への給電OFF)
reset
データ通信端末のリセット(データ通信端末への給電OFF→給電ON)
注釈
shutdown / no shutdown のどちらの場合も show running-config にコンフィグが表示されます。
対応するデバイスモードで shutdown にすることで、データ通信端末への電源供給を停止することができます。
shutdown がデフォルトとなっています。
2.9.5. モバイルインタフェース
UNIVERGE IX-Rシリーズでは機種ごとに以下のモバイルインタフェースを使用することができます。
機種
使用可能なインタフェース
データ通信端末
IX-R2530
-
-
IX-R2520
-
-
IX-R2610
MobileEthernet1.0
内蔵モジュール
注釈
本機能説明書中、MobileEthernetX.0 と表記している箇所があります。この場合 X は数字(0 または 1)を示します。
2.9.6. 基本設定
モバイル機能の基本設定はインタフェースコンフィグモード(MobileEthernetインタフェース)で以下のコマンドを使用して行います。
項目
説明
操作モード
mobile id
モバイル通信網のアクセスポイント名(APN)、パケット通信の通信方式(PDP-Type)の設定
インタフェースコンフィグモード
mobile username
モバイル通信網に接続するためのユーザーIDの設定モバイル通信網の契約によっては必要ない場合もありますインタフェースコンフィグモード
mobile password
モバイル通信網に接続するためのパスワードの設定モバイル通信網の契約によっては必要ない場合もありますインタフェースコンフィグモード
mobile authentication accept
モバイル通信網に接続するための受諾認証方式(CHAP/PAP)の設定デフォルト:CHAPインタフェースコンフィグモード
ip address dhcp
DHCPで取得した自動割り当てアドレスの利用
インタフェースコンフィグモード
ip route default MobileEthernetX.0 dhcp
MobileEthernetX.0をデフォルトの出力先インタフェースに設定デフォルトゲートウェイはDHCPで払い出されたIPアドレスを利用グローバルコンフィグモード
ip route default MobileEthernet1.0 dhcp ! interface MobileEthernet1.0 no auto-connect ip address dhcp mobile id ip net.example.com mobile username test mobile password plain test no shutdown
注釈
MobileEthernetインタフェースのIPアドレスのプレフィックス長は必ず /31 となります。
DNSサーバーアドレスはモバイル通信網から払い出されます。
デフォルトゲートウェイはモバイル通信網から払い出されたIPアドレスをもとにデータ通信端末で自動生成されます。(モバイル通信網から払い出されたIPアドレスによって異なります)
2.9.7. 接続方式
UNIVERGE IX-Rシリーズではモバイル通信網への接続動作を以下の方式で行うことができます。
常時接続
装置起動時に自動でモバイル通信網に接続を行います。接続相手から切断される等の原因で切断が生じた場合にも、自動で再接続を行います。通常はすぐに再接続を行いますが、mobile reconnect-time の設定を行うと、接続に失敗した場合の再接続までの時間を延ばすことができます。オンデマンド接続
モバイル通信網にパケットを送信する必要が発生した場合、自動で接続を行います。無通信タイマーや強制切断タイマーの設定に従って自動で切断します。connect コマンドによる手動接続、disconnect コマンドによる手動切断が可能なモードです。
項目
説明
auto-connect
常時接続に設定
no auto-connect
オンデマンド接続に設定
注釈
auto-connect / no auto-connect のどちらの場合も show running-config にコンフィグが表示されます。
内蔵モジュールの場合、無通信タイマーや強制切断タイマー、disconnectコマンドでの切断ではモバイル通信網への帰属は外れず、ホストCPUと内蔵モジュールの間の接続のみを切断します。
2.9.7.1. 無通信タイマー
項目
説明
操作モード
idle-time
無通信タイマーを設定・inbound:受信方向・outbound:送信方向・指定なし:双方向デフォルト:双方向インタフェースコンフィグモード
注釈
無通信タイマーはオンデマンド接続の場合のみ有効です。
2.9.7.2. 強制切断タイマー
1回の接続時間が設定値を超えた場合に強制的に接続を切断することができます。
項目
説明
操作モード
forced-disconnect-time
強制切断タイマーの設定デフォルト:無効インタフェースコンフィグモード
注釈
強制切断タイマーはオンデマンド接続の場合のみ有効です。
2.9.7.3. バックオフタイマー
項目
説明
操作モード
mobile reconnect-time enable
バックオフタイマーの有効デフォルト:無効インタフェースコンフィグモード
mobile reconnect-time MAX-TIME
再接続を行うまでの最大時間の設定デフォルト:60秒最大:3600秒インタフェースコンフィグモード
注釈
バックオフタイマーは常時接続の場合のみ有効です。
2.9.8. 接続モード
UNIVERGE IX-Rシリーズのモバイル機能ではLTEのみ接続することができます。
2.9.9. 接続先の通信事業者の選択
モバイル回線に接続する際の接続先の通信事業者を設定することができます。
自動判別
UNIVERGE IX-Rシリーズに装着したSIMカードから接続先の通信事業者を自動で判別します。
接続先の通信事業者の固定
設定された通信事業者への接続のみを可能とします。
項目
説明
操作モード
mobile carrier
接続先の通信事業者の設定auto:自動判別docomo:NTTドコモ(MNO/MVNO)kddi:KDDI(MNO/MVNO)softbank:ソフトバンク(MNO/MVNO)デフォルト:自動判別インタフェースコンフィグモード
注釈
本機能は接続先の通信事業者の選択が可能な内蔵モジュールでのみ利用できます。
機種によっては、設定値の反映のために内蔵モジュールのリセットを行う場合があります。
注意
内蔵モジュールの種類によっては、設定値と異なる通信事業者のSIMカードを使用してもモバイル通信網へ接続できる場合があります。
2.9.10. セキュリティ設定(PINコード)
装置起動時
電源ON、または再起動(reload)コマンドによる装置起動時に1度だけ認証を行います。
PIN認証の有効設定時
PIN認証が無効の状態から、pin-authentication on コマンドでPIN認証を有効に変更した際に認証を行います。
PIN認証の設定変更時
PIN認証未実施、またはPIN認証失敗の状態で、mobile pin コマンドでPINコードの設定/変更を行った際に認証を行います。
項目
説明
操作モード
pin-authentication
SIMカードのPIN認証の有効(on)/無効(off)の設定グローバルコンフィグモード
pin-code
SIMカードのPINコードの変更。グローバルコンフィグモード
pin-unlock
SIMカードのPINロック状態の解除。グローバルコンフィグモード
mobile pin
SIMカードの認証に使用するPINコードの設定。インタフェースコンフィグモード
- PIN認証機能のサポート一覧
データ通信端末
PIN認証機能
PINコード変更機能
PINロック解除機能
EM7431
○
○
○
注釈
pin-authentication コマンド、pin-code コマンドの設定はSIMカードに記憶される情報のため、装置のコンフィグには保存されません。
pin-code コマンドでPINコードを変更するためには、PIN認証が有効となっている必要があります。あらかじめ、pin-authentication on コマンドでPIN認証を有効にしてください。
注意
2.9.11. モバイル回線パケット使用量の監視
項目
説明
操作モード
mobile packets-watch enable
モバイル回線パケット使用量の監視の有効デフォルト:無効グローバルコンフィグモード
mobile packets-limit
モバイル回線パケット使用量の監視期間、および監視期間内での上限値の設定グローバルコンフィグモード
注釈
監視中のパケット使用量は毎日0時0分0秒、またはreload コマンドなどによる再起動時に不揮発性メモリに保存します。
電源をOFFした場合は、当日分のパケット使用量が消去されます。
不揮発性メモリに保存されたパケット使用量は、 clear mobile packets statistics コマンド、または no mobile packets-watch enable コマンドを実行すると消去されます。
2.9.11.1. モバイル回線パケット使用量の表示
- 現在のモバイル回線パケット使用量の表示例
MobileEthernet1.0 1day : 1 Mbytes 3day : 1 Mbytes month : 1 Mbytes
注釈
注意
- 履歴の表示例
MobileEthernet1.0 day: 2025/01/22 3 Mbytes 2025/01/21 2 Mbytes 2025/01/20 1 Mbytes month: 2025/01 6 Mbytes
注釈
days は最大31日分、month は最大12か月分表示します。
2.9.11.2. モバイル回線パケット使用量の消去
監視中のモバイル回線パケット使用量を clear mobile packets statistics コマンドで消去することができます。
2.9.12. 自動リカバリ
注釈
- 自動リカバリ機能一覧
概要
詳細
回数/秒数
未接続検出時 給電OFF/ON
データ通信端末の接続を一定時間検出できない場合に給電OFF/ONを行います。
給電開始後 60秒
未接続検出時 装置再起動
未接続検出時 給電OFF/ONを複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。
3回
データ通信端末異常検出時 給電OFF/ON
データ通信端末の異常を検出した場合に給電OFF/ONを行います。異常検出要因の詳細は「データ通信端末異常の要因一覧」を参照してください。「データ通信端末異常の要因一覧」を参照してください。
データ通信端末異常検出時 装置再起動
データ通信端末異常検出時 給電OFF/ONを複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。
10回
NDIS接続異常検出時 給電OFF/ON
NDIS接続異常を検出した場合に給電OFF/ONを行います。異常検出要因の詳細は「NDIS接続異常の要因一覧」を参照してください。「NDIS接続異常の要因一覧」を参照してください。
NDIS接続異常検出時 装置再起動
NDIS接続異常検出時 給電OFF/ONを複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。
10回
アンテナレベル0検出時 給電OFF/ON
アンテナレベル0、または圏外の状態が一定数継続した場合に給電OFF/ONを行います。
300回
アンテナレベル0検出時 装置再起動
アンテナレベル0検出時 給電OFF/ON複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。
10回
- データ通信端末異常の要因一覧
要因詳細
リカバリまでの実施回数
データ通信端末の情報(機種名、シリアル番号など)が取得できない。
61回
1秒ごとに実施するATコマンドに対し、データ通信端末から応答がない。(タイムアウト時間は5秒)
61回
データ通信端末からの応答が不正。
61回
SIMカードを正しく認識できない。
61回
アンテナレベルが不正。
61回
- NDIS接続異常の要因一覧
要因詳細
リカバリまでの実施回数
モバイル通信網に接続できない。
2回
データ通信端末への接続要求後、回線状態が「接続」に変化しない。(タイムアウト時間は30秒)
1回
モバイル通信網に接続できたが、DHCPでIPアドレスが取得できない。(タイムアウト時間は58秒)
1回
ソフトウェア内部動作で異常を検出した。
1回
注釈
「モバイル通信網に接続できない」場合のリカバリについて、常時接続でバックオフタイマーの設定が有効の場合、バックオフタイマーの上限でのリトライが2回続けて失敗した場合に給電OFF/ONを行います。
項目
説明
操作モード
mobile recovery disable
自動リカバリ機能の無効デフォルト:有効インタフェースコンフィグモード
mobile zero-signal recovery enable
アンテナレベル0検出時 給電OFF/ONの有効デフォルト:無効インタフェースコンフィグモード
mobile recovery reboot [exclude-zero-signal]
未接続検出以外の自動リカバリ機能での装置再起動の有効exclude-zero-signalオプションを指定すると、アンテナレベル0検出時の装置再起動は有効にしません。デフォルト:無効インタフェースコンフィグモード
mobile expected-attachment DEVICE recovery disable
未接続検出時 給電OFF/ONの無効デフォルト:有効グローバルコンフィグモード
mobile expected-attachment DEVICE recovery reboot
未接続検出時 装置再起動の有効デフォルト:無効グローバルコンフィグモード
2.9.13. モバイルインタフェースのヘルスチェック
項目
説明
操作モード
mobile health-check timer
MobileEthernetインタフェースのヘルスチェック間隔の設定デフォルト:無効インタフェースコンフィグモード
2.9.14. モバイル情報履歴の表示
項目
説明
操作モード
show mobile history
モバイル情報の履歴の表示
EXECモードグローバルコンフィグモードインタフェースコンフィグモードclear mobile history
モバイル情報の履歴の消去
グローバルコンフィグモードインタフェースコンフィグモードMobile history Device Module1 - 11 recorded. 2025/01/23 10:00:26, Signal quality metrics on Module1 is rssi:-70, rsrp:-96, rsrq:-9, sinr:14, LTE 2025/01/23 10:00:26, Signal bar is changed from 0 to 3 on Module1. 2025/01/23 10:00:26, Signal bar is in-range on Module1. 2025/01/23 10:00:25, Signal quality metrics on Module1 is rssi:-80, rsrp:-103, rsrq:-8, sinr:7, LTE 2025/01/23 10:00:25, Signal bar is changed from --- to 0 on Module1. 2025/01/23 10:00:25, Signal bar is valid on Module1. 2025/01/23 10:00:25, Service mode was changed from --- to LTE on Module1. 2025/01/23 10:00:25, Module1 is attached. 2025/01/23 10:00:25, Module serial number of Module1: ***************. 2025/01/23 10:00:25, Module version of Module1: ********************. 2025/01/23 10:00:19, Module name of Module1: EM7431.
注釈
アンテナレベルの変化時にはアンテナレベルのパラメータも追加で保存します。
履歴は装置全体で最大 1,000 件記録します。最大件数を超えた場合は一番古い情報を削除したあと、新しい情報を記録します。
履歴は件数を指定して表示することができます。
2.9.15. モバイル回線品質情報のsyslog記録機能
項目
説明
操作モード
mobile quality-log DEVICE enable
モバイル回線の品質情報のsyslogへの記録を有効デフォルト:無効グローバルコンフィグモード
mobile quality-log DEVICE interval TIME
モバイル回線の品質情報のsyslogへの記録の間隔の設定デフォルト:60秒グローバルコンフィグモード
注釈
データ通信端末によって記録される内容は異なる場合があります。
2.9.16. 状態表示
2.9.16.1. LED
データ通信端末の状態に応じて、以下のLEDを点灯します。
データ通信端末
LED
内蔵モジュール
ST2
状態
点灯色
点灯パターン
未使用
-
消灯
圏外、またはアンテナ異常やSIMカード異常で利用不可
赤
低速点滅
未接続検出時給電OFF(自動リカバリ)中
赤
点灯
データ通信端末の接続失敗で利用不可
赤
点灯
PIN認証失敗
赤
高速点滅
受信感度レベル1~2(弱)
緑
高速点滅
受信感度レベル3(中)
緑
中速点滅
受信感度レベル4(強)
緑
点灯
注釈
低速点滅:1秒間隔で点灯・消灯
中速点滅:0.5秒間隔で点灯・消灯
高速点滅:0.25秒間隔で点灯・消灯
2.9.16.2. データ通信端末の状態表示
データ通信端末の情報、アンテナレベル、エラー情報、自動リカバリの実行回数などの情報を表示します。
項目
説明
操作モード
show mobile status
データ通信端末の情報の表示
EXECモードグローバルコンフィグモードインタフェースコンフィグモードMobileEthernet1.0 modem name : EM7431 version : ******************** serial number : *************** SIM number : +CNUM: "***********",129 : ICCID: ******************* carrier name : ******** imsi : *************** pin status : READY pin auth : not done pin auth fail : 0 service mode : LTE ipv4 mtu : 1500 APN : **************** network registration : registered registers : 1 unregisters : 0 EPS network registration : registered registers : 1 unregisters : 0 signal status : Standby signal bar : 3 signal strength : 3(RSRP:-101, RSRQ:-7) in-ranges : 1 out-ranges : 0 last update(in <--> out) : 2025/01/23 10:26:33 power recovery done : 0 interface health check fail : 0 modechange retry : 0 error status dead_count : 0 sim_error : 0 antenna_error : 0 recovery : enable zero-signal : disable auto-reboot : disable zero-signal-reboot : disable attachment power recovery Module1 : enable attachment reboot recovery Module1 : disable
項目
説明
modem name
データ通信端末の機種名。データ通信端末の機種によっては、機種名と異なる名称が表示される場合があります。version
データ通信端末のバージョン。
serial number
データ通信端末のシリアル番号(IMEI)。
SIM number
回線識別番号。・+CNUM:SIMカードから取得された電話番号。・ICCID:SIMカードから取得されたICCID。carrier name
接続先のモバイル通信事業者名。
imsi
SIMカードから取得されたIMSI。
pin status
PIN状態。・READY:PIN認証解除。・SIM PIN:PINコード入力待ち。・SIM PUK:PINロック状態(PINロック解除コード入力待ち)。pin auth
PIN認証状態。・not done:未認証・done:認証済pin auth fail
PIN認証失敗回数。
service mode
モバイル通信網の使用している通信方式(Radio Access Technology)の種別。
ipv4 mtu
接続先のモバイル回線のMTU(IPv4)。
APN
設定されているアクセスポイント名(APN)。
network registrationEPS network registration 基地局登録状態。・not registered :未登録・registered :登録済・registering :登録中(未完了)・registration denied:登録失敗・illegal status :異常状態registers
基地局登録状態が 登録済 に遷移した回数。
unregisters
基地局登録状態が 登録済 から他の状態へ遷移した回数。
signal status
アンテナレベル取得可否の状態。・Stanby:通信中でもアンテナレベルの取得が可能signal bar
アンテナレベル(0~4)基地局登録状態が 登録済 以外の場合は 0 を表示します。signal strength
アンテナレベル(0~4)、および RSRP、RSRQ。基地局登録状態が 登録済 以外の場合でも、実際の測定結果を表示します。in-ranges
圏内(アンテナレベルが1以上、かつ、基地局登録状態が 登録済)に遷移した回数。
out-ranges
圏外(アンテナレベルが0、または基地局登録状態が 登録済 以外)に遷移した回数。
last update(in <--> out)
最後に圏内<-->圏外に遷移した時刻。
power recovery done
自動リカバリ機能で給電OFF/ONを行った回数。
interface health check fail
モバイルインタフェースのヘルスチェックを行った回数。
modechange retry
データ通信端末の再認識回数。一部のデータ通信端末は、起動時にUSBメモリとして認識されるため、通信モードに変更します。通信モードへの変更の際に、データ通信端末の認識に失敗し、再認識を行った回数を表示します。error status
発生中のエラー情報。・MODEM ERROR:データ通信端末からの応答がないか、応答が正常ではありません。・MODEM NOT READY:データ通信端末が利用できない状態です。・SIM ERROR:SIMカードが正しく認識されないか、異常な状態です。・SIM PIN WAIT:PIN認証が有効でPINコード入力待ちの状態です。・SIM LOCKED:PIN認証に3回連続で失敗し、SIMカードがPINロック状態です。・ANTENNA LEVEL INVALID:アンテナレベルが異常な状態です。・ANTENNA LEVEL ZERO:アンテナレベル0(圏外)の状態です。dead count
MODEM ERRORの検出回数。
sim error
SIM ERRORの検出回数。
antenna error
ANTENNA LEVEL INVALIDの検出回数。
recovery
自動リカバリ機能の有効/無効の設定状態。・enable:有効・disable:無効zero-signal
アンテナレベル0検出時 給電OFF/ONの有効/無効の設定状態。・enable:有効・disable:無効auto-reboot
自動リカバリ機能による装置再起動の有効/無効の設定状態。・enable:有効・disable:無効zero-signal-reboot
アンテナレベル0検出時 装置再起動の有効/無効の設定状態。・enable:有効・disable:無効attachment power recovery
未接続検出時 給電OFF/ONの有効/無効の設定状態。・enable:有効・disable:無効attachment reboot recovery
未接続検出時 装置再起動の有効/無効の設定状態。・enable:有効・disable:無効
2.9.16.3. モバイル回線接続の統計情報の表示
項目
説明
操作モード
show mobile statistics
モバイル回線接続の統計情報の表示
EXECモードグローバルコンフィグモードインタフェースコンフィグモードMobileEthernet1.0 outgoing connection success : 1 fail : 0 peak connect (sec) : 1 commands : 44125 success : 44125 error : 0 fail : 0
項目
説明
outgoing connection
モバイル回線接続の統計情報
success
モバイル回線への接続の成功回数
fail
モバイル回線への接続の失敗回数
peak connect (sec)
接続開始から接続完了までにかかった最大時間(秒単位)
commands
データ通信端末へのATコマンドやメッセージの発行数
success
正常応答数
error
異常応答数
fail
ATコマンドの実行/メッセージ送信の失敗数
注釈
commands の統計情報はdetailオプションを指定した場合に表示します。
2.9.17. QoS設定時の注意事項
2.9.17.1. 回線速度
- 計算に使用する回線速度
項目
計算に使用する回線速度
QoS
下り方向の最大速度
MIB情報
下り方向の最大速度
回線使用率
受信側の使用率:下り方向の最大速度送信側の使用率:上り方向の最大速度- データ通信端末ごとのデフォルト回線速度
データ通信端末
デフォルト回線速度(下り)
デフォルト回線速度(上り)
EM7431
300Mbps
150Mbps
2.9.17.2. モバイル回線におけるQoS設定の注意事項
理論的回線速度と実際の速度が異なります。
データ通信サービスの速度表記は、規格上の理論最大速度であり、実際にその速度で利用できるわけではありません。
遅延が大きくなります。
モバイル回線での遅延は、有線回線に比べて大きくなる傾向があります。
遅延や速度が常に一定となりません。
あらかじめ帯域や遅延を測定サイト等で測定したとしても、常に同等の帯域や遅延で通信できるわけではありません。
TOS値による制御はできません。
TOS値をつけて送信してもモバイル通信網側で値がクリアされることがあります。
2.9.18. syslog
2.9.19. SNMP
2.9.19.1. プライベートMIB
2.9.19.2. トラップ
モバイル機能に関連するトラップには対応していません。
2.9.20. 注意事項
項目
内容
データ通信端末の高額課金について
データ通信端末の契約(ISPとの契約含む)には、利用したパケット量に応じて課金される「従量制」サービスがあります。長時間の連続接続や、大量のデータを送受信した場合、高額な利用料金が発生する場合があります。利用の際には、目的に応じた料金プランを選択し、想定されるデータ量を事前に把握した上で、通信料金には十分にご注意ください。データ通信の連続通信、切断について
モバイル通信事業者のデータ通信は連続通信を保証しておりません。そのため、長時間の連続通信や、大量のデータを送信した際には、事業者側から通信が切断される場合があります。また、モバイル通信事業者によっては、その後の利用(速度や接続)に制限がかかる場合がありますのでご注意ください。データ通信速度について
データ通信端末や対応する通信規格によって最大通信速度が異なります。また、表記されている通信速度は、規格上の理論最大速度であり、実際の通信速度を示すものではありません。モバイル通信事業者からはベストエフォート方式で提供されるため、実際の通信速度は通信環境やネットワークの混雑状況に応じて変化します。また、同じデータ通信端末を使用しても、ご利用の地域によっては通信規格(速度)が異なる場合があります。詳しくはご契約のモバイル通信事業者にご確認ください。データ通信の遅延について
モバイル通信網を利用したパケット通信の場合、網内遅延が有線回線に比べて大きくなる傾向があります。そのため、LAN上での利用を想定したアプリケーション等、遅延の影響を大きく受けるアプリケーションを利用される場合はご注意ください。サポートしていない通信方式
UNIVERGE IX-Rシリーズでは5G回線のデータ通信には対応していません。
モバイル通信網のキャリアグレードNAT対応について
モバイル通信網ではモバイル通信事業者のネットワーク内でアドレス変換が行われる場合があります。モバイル通信網を経由してIPsec接続を行う場合は、NATトラバーサルの使用を推奨します。楽天モバイル
UNIVERGE IX-Rシリーズでは楽天モバイルの回線への接続はサポートしておりません。
内蔵モジュールのping応答
モバイル通信用パラメータが設定済みの場合、モバイルインタフェースが shutdown 状態であっても、内蔵モジュールは外部からの ping に対して自動応答します。そのため、ping によるモバイルインタフェースの IP アドレスに対する死活監視を実施した場合、正しく状態を検出できない可能性がありますので、ご注意ください。IPsec をご利用の場合、ping による死活監視を実施する場合は Tunnel インタフェースを利用し、トンネルの先の IP アドレスを監視することを推奨します。
2.9.21. トラブルシューティング
モバイル通信網を経由して IPsec が張れたが、通信できない。
事象:
IPsec インタフェースのup、および、IPsec SA ができているが、通信できない。
対策 :
モバイル通信網では通信事業者のネットワーク内でアドレス変換が行われる場合があります。IPsec の NAT トラバーサル機能を有効化してください。
モバイル通信網を経由して IPsec が張れたが、通信できない。
事象:
モバイル通信網を使用した通信ができない、通信が遅い、通信が不安定、通信が切断される。
対策:
以下のような syslog が出力される環境では電波が不安定である場合があります。mobile - 104 - Signal bar is out-range on Module1.mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 0 on Module1mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 1 on Module1設置場所の見直し、延長アンテナの取り付けによる電波環境の改善をしてください。内蔵モジュールでは show mobile status detail コマンドで電波の詳細情報を確認できます。
2.9.22. Q and A
- モバイル通信網を経由した通信に異常がある場合のログ確認方法を教えてください。まず、以下のsyslogを有効にして事象発生後、show tech-support を取得してください。syslog function mobile debugsyslogにエラーログがないかご確認ください。以下のようなsyslogが出力されていた場合は電波環境が不安定の疑いがあります。mobile - 104 - Signal bar is out-range on Module1.mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 0 on Modulemobile - 310 - Signal bar is changed from X to 1 on Module1
2.9.23. 付録
2.9.23.1. 海外モバイル通信事業者SIM(グローバルSIM)の利用可否
装置
利用可否
IX-R2610
○
注釈
2.9.23.2. アンテナレベルの各パラメータの内容
パラメータ
意味
RSSI(Received Signal Strength Indicator)(dBm)
受信信号強度RS が存在する OFDM シンボル(Normal CP の場合 1 OFDM シンボルは約67μs)において LTE システム帯域全体の受信電力を測定した値。基地局の設置条件や測定環境だけではなく、測定対象基地局や周辺基地局のトラフィック量によっても変化し、一般にトラフィック量が増えると LTE フレーム内のリソース割り当てが増えて RSSI が大きくなる。RSRP(Reference Signal Received Power)(dBm)
信号の強さ1 リソースエレメント(帯域 15kHz)あたりのRS(Reference Signal)受信電力。基地局からの電波受信レベルを評価する基本的なパラメータ。・基地局の送信出力・アンテナの向き・アンテナの高さなど基地局の固定的な設置条件と、・基地局からの距離・障害物などの測定環境によってほぼ決まる。RSRQ(Reference Signal Received Quality)(dB)
信号の品質RS の受信品質を表す指標の 1 つであり、(RSRP)/(RSSI)によって計算される。1 リソースブロック内の RS 数は一定なので、帯域幅に関係なく RSRQ にて RS 品質を評価できる。SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)(dB)
受信信号電力対干渉および雑音電力比SIR(Signal to Interference Ratio)ともいわれる。RS の受信品質を表す指標の 1 つ。(RSRP)÷(RS と同じリソースブロックの 15kHz 帯域内に存在する干渉電力)によって計算される。干渉電力には同じ帯域の隣接セルからの信号に加えて雑音成分も含まれる。測定している RS と同一のセル(自局)のトラフィックの影響を受けずに、他のセル(他局)からの干渉のみを測定できることが特長。
注釈
2.9.23.3. show mobile status detailの内容
- EM7431の内容一覧
パラメータ
意味
Current Time
bootup からの秒数
Temperature
温度
Reset Counter
リセット回数
Mode
モデムのモード
System mode
帰属している網種別
PS state
端末が基地局から受けているサービスの状況
LTE band
帰属しているバンドの数字
LTE bw
帰属しているバンドの幅
LTE Rx chan
帰属している受信チャネルDownLink Channel(EARFCN)の意味LTE Tx chan
帰属している送信チャネルUplink Channel の意味LTE SCC1 state
SCC 用 1 本目のキャリアアグリゲーションの状態。
LTE SCC1 band
帰属しているバンドの数字。(キャリアアグリゲーション時の SCC 用 1 本目)
LTE SCC1 bw
帰属しているバンドの幅。(キャリアアグリゲーション時の SCC 用 1 本目)
LTE SCC1 chan
帰属している受信チャネル。(キャリアアグリゲーション時の SCC 用 1 本目)
LTE SCC2 state
SCC 用 2 本目のキャリアアグリゲーションの状態。(必ず NOT ASSIGNED を表示)
LTE SCC3 state
SCC 用 3 本目のキャリアアグリゲーションの状態。(必ず NOT ASSIGNED を表示)
LTE SCC4 state
SCC 用 4 本目のキャリアアグリゲーションの状態。(必ず NOT ASSIGNED を表示)
EMM state
LTE ネットワークの C-Plane の状態
RRC state
無線ネットワークを制御する RRC(Radio Resource Control)の状態
IMS reg state
IMS サービスの状態
IMS mode
IMS サービスのモード
PCC RxM RSSIPCC RxM RSRPメインアンテナ、メインバンドの RSSI と RSRP
PCC RxD RSSIPCC RxD RSRPサブアンテナ、メインバンドの RSSI と RSRP
SCC1 RxM RSSISCC1 RxM RSRPメインアンテナ、サブバンドの RSSI と RSRP
SCC1 RxD RSSISCC1 RxD RSRPサブアンテナ、サブバンドの RSSI と RSRP
Tx Power
送信出力
TAC
ネットワーク上で管理される端末の位置を示すセル単位のコード
RSRQ (dB)
信号の品質
Cell ID
基地局番号(物理)
SINR (dB)
受信信号電力対干渉および雑音電力比
注釈