2.9. モバイル機能の設定

2.9.1. モバイル機能概要

モバイル機能を利用することで、UNIVERGE IX-Rシリーズにおいてモバイル通信事業者やMVNO事業者のネットワークサービス(以下、モバイル通信網と呼ぶ)に接続し通信を行うことができます。
モバイル通信網には、装置に内蔵したデータ通信モジュール(以下、内蔵モジュールと呼ぶ)で接続します。

注釈

UNIVERGE IX-R シリーズではUSBデータ通信端末は利用できません。

注意

UNIVERGE IX-V シリーズではモバイル機能は利用できません。

2.9.2. 対応するデータ通信端末

データ通信端末

対応キャリア名

機種

対応バージョン

その他

EM7431

NTTドコモ
ソフトバンク
KDDI(au)

IX-R2610

Ver.1.3 ~

※1

2.9.3. モバイル通信方式

UNIVERGE IX-Rシリーズではモバイル通信網に接続するために以下の通信方式を使用します。

  • NDIS(Network Driver Interface Specification)

    データリンクにイーサネットを利用するブロードキャストインタフェースで、PPP方式よりも高速な通信が可能です。
    UNIVERGE IX-RシリーズではMobileEthernetインタフェースを使用し、IPアドレスはDHCPで取得します。

注釈

  • PPP(Point-to-Point Protocol)での接続はサポートしていません。

  • IPv4での接続のみ利用できます。IPv6はサポートしていません。

2.9.4. デバイス

データ通信端末を利用するには、デバイスコンフィグモードでデータ通信端末を有効化する必要があります。
UNIVERGE IX-Rシリーズでは機種ごとに以下のデバイスをを使用することができます。

機種

使用可能なデバイス

データ通信端末

IX-R2530

IX-R2520

IX-R2610

Module1

内蔵モジュール

以下のコマンドでデバイスの有効化、無効化、リセットを行うことができます。

項目

説明

no shutdown

データ通信端末の有効化(データ通信端末への給電ON)

shutdown

データ通信端末の無効化(データ通信端末への給電OFF)

reset

データ通信端末のリセット(データ通信端末への給電OFF→給電ON)

注釈

  • shutdown / no shutdown のどちらの場合も show running-config にコンフィグが表示されます。

  • 対応するデバイスモードで shutdown にすることで、データ通信端末への電源供給を停止することができます。

  • shutdown がデフォルトとなっています。

2.9.5. モバイルインタフェース

UNIVERGE IX-Rシリーズでは機種ごとに以下のモバイルインタフェースを使用することができます。

機種

使用可能なインタフェース

データ通信端末

IX-R2530

IX-R2520

IX-R2610

MobileEthernet1.0

内蔵モジュール

注釈

本機能説明書中、MobileEthernetX.0 と表記している箇所があります。この場合 X は数字(0 または 1)を示します。

2.9.6. 基本設定

モバイル機能ではデータ通信端末を使用し、モバイル通信網とルーティングによるデータ通信を行います。
UNIVERGE IX-Rシリーズが有するIPsec機能、Ether over IP機能などを使用して通信を行うことができます。

../_images/12_mobile_01.svg

モバイル機能の基本設定はインタフェースコンフィグモード(MobileEthernetインタフェース)で以下のコマンドを使用して行います。

項目

説明

操作モード

mobile id

モバイル通信網のアクセスポイント名(APN)、パケット通信の通信方式(PDP-Type)の設定

インタフェースコンフィグモード

mobile username

モバイル通信網に接続するためのユーザーIDの設定
モバイル通信網の契約によっては必要ない場合もあります

インタフェースコンフィグモード

mobile password

モバイル通信網に接続するためのパスワードの設定
モバイル通信網の契約によっては必要ない場合もあります

インタフェースコンフィグモード

mobile authentication accept

モバイル通信網に接続するための受諾認証方式(CHAP/PAP)の設定
デフォルト:CHAP

インタフェースコンフィグモード

ip address dhcp

DHCPで取得した自動割り当てアドレスの利用

インタフェースコンフィグモード

ip route default MobileEthernetX.0 dhcp

MobileEthernetX.0をデフォルトの出力先インタフェースに設定
デフォルトゲートウェイはDHCPで払い出されたIPアドレスを利用

グローバルコンフィグモード

リスト 2.9.1 設定例
ip route default MobileEthernet1.0 dhcp
!
interface MobileEthernet1.0
  no auto-connect
  ip address dhcp
  mobile id ip net.example.com
  mobile username test
  mobile password plain test
  no shutdown

注釈

  • MobileEthernetインタフェースのIPアドレスのプレフィックス長は必ず /31 となります。

  • DNSサーバーアドレスはモバイル通信網から払い出されます。

  • デフォルトゲートウェイはモバイル通信網から払い出されたIPアドレスをもとにデータ通信端末で自動生成されます。(モバイル通信網から払い出されたIPアドレスによって異なります)

2.9.7. 接続方式

UNIVERGE IX-Rシリーズではモバイル通信網への接続動作を以下の方式で行うことができます。

  • 常時接続

    装置起動時に自動でモバイル通信網に接続を行います。
    接続相手から切断される等の原因で切断が生じた場合にも、自動で再接続を行います。
    通常はすぐに再接続を行いますが、mobile reconnect-time の設定を行うと、接続に失敗した場合の再接続までの時間を延ばすことができます。

  • オンデマンド接続

    モバイル通信網にパケットを送信する必要が発生した場合、自動で接続を行います。
    無通信タイマーや強制切断タイマーの設定に従って自動で切断します。
    connect コマンドによる手動接続、disconnect コマンドによる手動切断が可能なモードです。
接続方式の設定は、インタフェースコンフィグモード(MobileEthernetインタフェース)で以下のコマンドを使用して行います。
デフォルトはオンデマンド接続です。

項目

説明

auto-connect

常時接続に設定

no auto-connect

オンデマンド接続に設定

注釈

  • auto-connect / no auto-connect のどちらの場合も show running-config にコンフィグが表示されます。

  • 内蔵モジュールの場合、無通信タイマーや強制切断タイマー、disconnectコマンドでの切断ではモバイル通信網への帰属は外れず、ホストCPUと内蔵モジュールの間の接続のみを切断します。

2.9.7.1. 無通信タイマー

設定された時間、無通信状態が続いた場合に自動で接続を切断することができます。
監視する通信の方向を上り方向、下り方向、双方向のいずれか選択することができます。

項目

説明

操作モード

idle-time

無通信タイマーを設定
・inbound:受信方向
・outbound:送信方向
・指定なし:双方向
デフォルト:双方向

インタフェースコンフィグモード

注釈

無通信タイマーはオンデマンド接続の場合のみ有効です。

2.9.7.2. 強制切断タイマー

1回の接続時間が設定値を超えた場合に強制的に接続を切断することができます。

項目

説明

操作モード

forced-disconnect-time

強制切断タイマーの設定
デフォルト:無効

インタフェースコンフィグモード

注釈

強制切断タイマーはオンデマンド接続の場合のみ有効です。

2.9.7.3. バックオフタイマー

バックオフタイマーは接続に失敗した場合、再接続開始までに待ち時間を挿入する機能です。待ち時間は最大秒数で指定します。
接続に失敗するごとに再接続開始までの待ち時間を 1、2、4、8、16秒と指数的に増やしていきます。
1度接続に成功すると、待ち時間は0秒に戻ります。

項目

説明

操作モード

mobile reconnect-time enable

バックオフタイマーの有効
デフォルト:無効

インタフェースコンフィグモード

mobile reconnect-time MAX-TIME

再接続を行うまでの最大時間の設定
デフォルト:60秒
最大:3600秒

インタフェースコンフィグモード

注釈

バックオフタイマーは常時接続の場合のみ有効です。

2.9.8. 接続モード

UNIVERGE IX-Rシリーズのモバイル機能ではLTEのみ接続することができます。

2.9.9. 接続先の通信事業者の選択

モバイル回線に接続する際の接続先の通信事業者を設定することができます。

  • 自動判別

    UNIVERGE IX-Rシリーズに装着したSIMカードから接続先の通信事業者を自動で判別します。

  • 接続先の通信事業者の固定

    設定された通信事業者への接続のみを可能とします。

    項目

    説明

    操作モード

    mobile carrier

    接続先の通信事業者の設定
    auto:自動判別
    docomo:NTTドコモ(MNO/MVNO)
    kddi:KDDI(MNO/MVNO)
    softbank:ソフトバンク(MNO/MVNO)
    デフォルト:自動判別

    インタフェースコンフィグモード

注釈

  • 本機能は接続先の通信事業者の選択が可能な内蔵モジュールでのみ利用できます。

  • 機種によっては、設定値の反映のために内蔵モジュールのリセットを行う場合があります。

注意

内蔵モジュールの種類によっては、設定値と異なる通信事業者のSIMカードを使用してもモバイル通信網へ接続できる場合があります。

2.9.10. セキュリティ設定(PINコード)

UNIVERGE IX-RシリーズではSIMカードのPINコードを使用した認証が可能です。
SIMカードのPIN認証が有効で、装置のコンフィグにPINコードが設定されている場合に、以下の契機でPIN認証を行います。

  • 装置起動時

    電源ON、または再起動(reload)コマンドによる装置起動時に1度だけ認証を行います。

  • PIN認証の有効設定時

    PIN認証が無効の状態から、pin-authentication on コマンドでPIN認証を有効に変更した際に認証を行います。

  • PIN認証の設定変更時

    PIN認証未実施、またはPIN認証失敗の状態で、mobile pin コマンドでPINコードの設定/変更を行った際に認証を行います。

    項目

    説明

    操作モード

    pin-authentication

    SIMカードのPIN認証の有効(on)/無効(off)の設定

    グローバルコンフィグモード

    pin-code

    SIMカードのPINコードの変更。

    グローバルコンフィグモード

    pin-unlock

    SIMカードのPINロック状態の解除。

    グローバルコンフィグモード

    mobile pin

    SIMカードの認証に使用するPINコードの設定。

    インタフェースコンフィグモード

PIN認証機能のサポート一覧

データ通信端末

PIN認証機能

PINコード変更機能

PINロック解除機能

EM7431

注釈

  • pin-authentication コマンド、pin-code コマンドの設定はSIMカードに記憶される情報のため、装置のコンフィグには保存されません。

  • pin-code コマンドでPINコードを変更するためには、PIN認証が有効となっている必要があります。あらかじめ、pin-authentication on コマンドでPIN認証を有効にしてください。

注意

PIN認証に3回連続で失敗した場合、PINロック状態となります。
データ通信端末の仕様により、不正なPINコードで連続してPIN認証の有効/無効設定を行った場合、PINロック状態となる場合があります。
PINロック状態を解除するためには、SIMカードのご購入元から提示されたPINロック解除コードが必要となります。

2.9.11. モバイル回線パケット使用量の監視

モバイル回線のパケット使用量をMobileEthernetインタフェース単位で監視し、上限値を超えた場合にsyslogに記録することができます。
上限値は監視の期間(1日、3日、1か月)ごとにMbyte単位で設定することができます。
上限値を超えても実際の通信への影響はありません。

項目

説明

操作モード

mobile packets-watch enable

モバイル回線パケット使用量の監視の有効
デフォルト:無効

グローバルコンフィグモード

mobile packets-limit

モバイル回線パケット使用量の監視期間、および監視期間内での上限値の設定

グローバルコンフィグモード

注釈

  • 監視中のパケット使用量は毎日0時0分0秒、またはreload コマンドなどによる再起動時に不揮発性メモリに保存します。

  • 電源をOFFした場合は、当日分のパケット使用量が消去されます。

  • 不揮発性メモリに保存されたパケット使用量は、 clear mobile packets statistics コマンド、または no mobile packets-watch enable コマンドを実行すると消去されます。

2.9.11.1. モバイル回線パケット使用量の表示

監視中のモバイル回線パケット使用量を show mobile packets コマンドで表示することができます。
また、historyオプションを指定すると1日単位と1か月単位のパケット使用量の履歴を表示することができます。

現在のモバイル回線パケット使用量の表示例
リスト 2.9.2 表示例
MobileEthernet1.0
  1day   : 1 Mbytes
  3day   : 1 Mbytes
  month  : 1 Mbytes
表示対象のパケット使用量が 1 ~ 999,999byte の場合は、値を繰り上げて 1Mbytes と表示します。
1,000,000byte以上の場合は、Mbyte以下のパケット使用量を切り捨てて表示します。

注釈

毎日1時間の間隔(毎時0分)でパケット使用量を更新します。
show mobile packets コマンドを実行したときに、それぞれ以下の期間のパケット使用量を表示します。
・1day:当日の0時0分0秒から show mobile packets コマンド実行時まで
・3day:当日を含めた2日前の0時0分0秒から show mobile packets コマンド実行時まで
・month:当月1日の0時0分0秒から show mobile packets コマンド実行時まで

注意

電源OFFや意図しない再起動が発生すると、当日の0時0分0秒以降のパケット使用量は消えてしまいます。
show mobile packets コマンドを実行する時刻が0時0分0秒を少しでも過ぎてしまうと、パケット使用量はリセットされてしまいますので、表示するタイミングに注意してください。
履歴の表示例
リスト 2.9.3 表示例
MobileEthernet1.0
  day:
    2025/01/22  3 Mbytes
    2025/01/21  2 Mbytes
    2025/01/20  1 Mbytes
  month:
    2025/01  6 Mbytes

注釈

days は最大31日分、month は最大12か月分表示します。

2.9.11.2. モバイル回線パケット使用量の消去

監視中のモバイル回線パケット使用量を clear mobile packets statistics コマンドで消去することができます。

2.9.12. 自動リカバリ

UNIVERGE IX-Rシリーズでは、データ通信端末の動作異常を検出し、正常通信できるようにするリカバリ機能をサポートしています。
データ通信端末に異常が発生したとみなした場合、データ通信端末への一時的な電源供給停止(以下、給電OFF/ONと呼ぶ)や装置の再起動によって、異常状態からの復旧を試みます。

注釈

自動リカバリ機能は正常状態に復旧することを保証する機能ではありません。
コンフィグの設定誤りや、データ通信端末、モバイル通信網側の状態によっては自動リカバリ動作が繰り返される場合があります。
自動リカバリ機能一覧

概要

詳細

回数/秒数

未接続検出時 給電OFF/ON

データ通信端末の接続を一定時間検出できない場合に給電OFF/ONを行います。

給電開始後 60秒

未接続検出時 装置再起動

未接続検出時 給電OFF/ONを複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。

3回

データ通信端末異常検出時 給電OFF/ON

データ通信端末の異常を検出した場合に給電OFF/ONを行います。
異常検出要因の詳細は「データ通信端末異常の要因一覧」を参照してください。

「データ通信端末異常の要因一覧」を参照してください。

データ通信端末異常検出時 装置再起動

データ通信端末異常検出時 給電OFF/ONを複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。

10回

NDIS接続異常検出時 給電OFF/ON

NDIS接続異常を検出した場合に給電OFF/ONを行います。
異常検出要因の詳細は「NDIS接続異常の要因一覧」を参照してください。

「NDIS接続異常の要因一覧」を参照してください。

NDIS接続異常検出時 装置再起動

NDIS接続異常検出時 給電OFF/ONを複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。

10回

アンテナレベル0検出時 給電OFF/ON

アンテナレベル0、または圏外の状態が一定数継続した場合に給電OFF/ONを行います。

300回

アンテナレベル0検出時 装置再起動

アンテナレベル0検出時 給電OFF/ON複数回実施しても復旧できない場合に装置を再起動します。

10回

データ通信端末異常の要因一覧

要因詳細

リカバリまでの実施回数

データ通信端末の情報(機種名、シリアル番号など)が取得できない。

61回

1秒ごとに実施するATコマンドに対し、データ通信端末から応答がない。(タイムアウト時間は5秒)

61回

データ通信端末からの応答が不正。

61回

SIMカードを正しく認識できない。

61回

アンテナレベルが不正。

61回

NDIS接続異常の要因一覧

要因詳細

リカバリまでの実施回数

モバイル通信網に接続できない。

2回

データ通信端末への接続要求後、回線状態が「接続」に変化しない。(タイムアウト時間は30秒)

1回

モバイル通信網に接続できたが、DHCPでIPアドレスが取得できない。(タイムアウト時間は58秒)

1回

ソフトウェア内部動作で異常を検出した。

1回

注釈

「モバイル通信網に接続できない」場合のリカバリについて、常時接続でバックオフタイマーの設定が有効の場合、バックオフタイマーの上限でのリトライが2回続けて失敗した場合に給電OFF/ONを行います。

項目

説明

操作モード

mobile recovery disable

自動リカバリ機能の無効
デフォルト:有効

インタフェースコンフィグモード

mobile zero-signal recovery enable

アンテナレベル0検出時 給電OFF/ONの有効
デフォルト:無効

インタフェースコンフィグモード

mobile recovery reboot [exclude-zero-signal]

未接続検出以外の自動リカバリ機能での装置再起動の有効
exclude-zero-signalオプションを指定すると、アンテナレベル0検出時の装置再起動は有効にしません。
デフォルト:無効

インタフェースコンフィグモード

mobile expected-attachment DEVICE recovery disable

未接続検出時 給電OFF/ONの無効
デフォルト:有効

グローバルコンフィグモード

mobile expected-attachment DEVICE recovery reboot

未接続検出時 装置再起動の有効
デフォルト:無効

グローバルコンフィグモード

2.9.13. モバイルインタフェースのヘルスチェック

MobileEthernetインタフェースを監視し、送信のみ片方向通信を検出した場合に異常状態と判断してDHCP RENEWを実行します。
データ通信端末の機種によってはDHCP RENEW実行時にパケットがモバイル通信網に送信される場合があります。

項目

説明

操作モード

mobile health-check timer

MobileEthernetインタフェースのヘルスチェック間隔の設定
デフォルト:無効

インタフェースコンフィグモード

2.9.14. モバイル情報履歴の表示

syslogが有効設定されていない状況でも、アンテナレベルの変化やモバイル通信網との接続/切断などの履歴を記録、表示します。
履歴の内容は clear mobile history コマンドで消去できます。

項目

説明

操作モード

show mobile history

モバイル情報の履歴の表示

EXECモード
グローバルコンフィグモード
インタフェースコンフィグモード

clear mobile history

モバイル情報の履歴の消去

グローバルコンフィグモード
インタフェースコンフィグモード
リスト 2.9.4 表示例
Mobile history

Device Module1 - 11 recorded.
  2025/01/23 10:00:26, Signal quality metrics on Module1 is rssi:-70, rsrp:-96, rsrq:-9, sinr:14, LTE
  2025/01/23 10:00:26, Signal bar is changed from 0 to 3 on Module1.
  2025/01/23 10:00:26, Signal bar is in-range on Module1.
  2025/01/23 10:00:25, Signal quality metrics on Module1 is rssi:-80, rsrp:-103, rsrq:-8, sinr:7, LTE
  2025/01/23 10:00:25, Signal bar is changed from --- to 0 on Module1.
  2025/01/23 10:00:25, Signal bar is valid on Module1.
  2025/01/23 10:00:25, Service mode was changed from --- to LTE on Module1.
  2025/01/23 10:00:25, Module1 is attached.
  2025/01/23 10:00:25, Module serial number of Module1: ***************.
  2025/01/23 10:00:25, Module version of Module1: ********************.
  2025/01/23 10:00:19, Module name of Module1: EM7431.

注釈

  • アンテナレベルの変化時にはアンテナレベルのパラメータも追加で保存します。

  • 履歴は装置全体で最大 1,000 件記録します。最大件数を超えた場合は一番古い情報を削除したあと、新しい情報を記録します。

  • 履歴は件数を指定して表示することができます。

2.9.15. モバイル回線品質情報のsyslog記録機能

モバイル回線の品質情報を定期的にsyslogに記録することができます。
syslogへの記録の間隔は秒単位で設定することができます。

項目

説明

操作モード

mobile quality-log DEVICE enable

モバイル回線の品質情報のsyslogへの記録を有効
デフォルト:無効

グローバルコンフィグモード

mobile quality-log DEVICE interval TIME

モバイル回線の品質情報のsyslogへの記録の間隔の設定
デフォルト:60秒

グローバルコンフィグモード

注釈

データ通信端末によって記録される内容は異なる場合があります。

2.9.16. 状態表示

2.9.16.1. LED

データ通信端末の状態に応じて、以下のLEDを点灯します。

データ通信端末

LED

内蔵モジュール

ST2

状態

点灯色

点灯パターン

未使用

消灯

圏外、またはアンテナ異常やSIMカード異常で利用不可

低速点滅

未接続検出時給電OFF(自動リカバリ)中

点灯

データ通信端末の接続失敗で利用不可

点灯

PIN認証失敗

高速点滅

受信感度レベル1~2(弱)

高速点滅

受信感度レベル3(中)

中速点滅

受信感度レベル4(強)

点灯

注釈

  • 低速点滅:1秒間隔で点灯・消灯

  • 中速点滅:0.5秒間隔で点灯・消灯

  • 高速点滅:0.25秒間隔で点灯・消灯

2.9.16.2. データ通信端末の状態表示

データ通信端末の情報、アンテナレベル、エラー情報、自動リカバリの実行回数などの情報を表示します。

項目

説明

操作モード

show mobile status

データ通信端末の情報の表示

EXECモード
グローバルコンフィグモード
インタフェースコンフィグモード
リスト 2.9.5 表示例
 MobileEthernet1.0
   modem name                       : EM7431
   version                          : ********************
   serial number                    : ***************
   SIM number                       : +CNUM: "***********",129
                                    : ICCID: *******************
   carrier name                     : ********
   imsi                             : ***************
   pin status                       : READY
   pin auth                         : not done
   pin auth fail                    : 0
   service mode                     : LTE
   ipv4 mtu                         : 1500
   APN                              : ****************
   network registration             : registered
     registers                      : 1
     unregisters                    : 0
   EPS network registration         : registered
     registers                      : 1
     unregisters                    : 0
   signal status                    : Standby
   signal bar                       : 3
   signal strength                  : 3(RSRP:-101, RSRQ:-7)
     in-ranges                      : 1
     out-ranges                     : 0
     last update(in <--> out)       : 2025/01/23 10:26:33
   power recovery done              : 0
   interface health check fail      : 0
   modechange retry                 : 0
   error status
     dead_count                     : 0
     sim_error                      : 0
     antenna_error                  : 0
   recovery                         : enable
     zero-signal                    : disable
     auto-reboot                    : disable
     zero-signal-reboot             : disable
 attachment power recovery
   Module1                          : enable
 attachment reboot recovery
   Module1                          : disable

項目

説明

modem name

データ通信端末の機種名。
データ通信端末の機種によっては、機種名と異なる名称が表示される場合があります。

version

データ通信端末のバージョン。

serial number

データ通信端末のシリアル番号(IMEI)。

SIM number

回線識別番号。
・+CNUM:SIMカードから取得された電話番号。
・ICCID:SIMカードから取得されたICCID。

carrier name

接続先のモバイル通信事業者名。

imsi

SIMカードから取得されたIMSI。

pin status

PIN状態。
・READY:PIN認証解除。
・SIM PIN:PINコード入力待ち。
・SIM PUK:PINロック状態(PINロック解除コード入力待ち)。

pin auth

PIN認証状態。
・not done:未認証
・done:認証済

pin auth fail

PIN認証失敗回数。

service mode

モバイル通信網の使用している通信方式(Radio Access Technology)の種別。

ipv4 mtu

接続先のモバイル回線のMTU(IPv4)。

APN

設定されているアクセスポイント名(APN)。

network registration
EPS network registration
基地局登録状態。
・not registered :未登録
・registered :登録済
・registering :登録中(未完了)
・registration denied:登録失敗
・illegal status :異常状態

registers

基地局登録状態が 登録済 に遷移した回数。

unregisters

基地局登録状態が 登録済 から他の状態へ遷移した回数。

signal status

アンテナレベル取得可否の状態。
・Stanby:通信中でもアンテナレベルの取得が可能

signal bar

アンテナレベル(0~4)
基地局登録状態が 登録済 以外の場合は 0 を表示します。

signal strength

アンテナレベル(0~4)、および RSRP、RSRQ。
基地局登録状態が 登録済 以外の場合でも、実際の測定結果を表示します。

in-ranges

圏内(アンテナレベルが1以上、かつ、基地局登録状態が 登録済)に遷移した回数。

out-ranges

圏外(アンテナレベルが0、または基地局登録状態が 登録済 以外)に遷移した回数。

last update(in <--> out)

最後に圏内<-->圏外に遷移した時刻。

power recovery done

自動リカバリ機能で給電OFF/ONを行った回数。

interface health check fail

モバイルインタフェースのヘルスチェックを行った回数。

modechange retry

データ通信端末の再認識回数。
一部のデータ通信端末は、起動時にUSBメモリとして認識されるため、通信モードに変更します。
通信モードへの変更の際に、データ通信端末の認識に失敗し、再認識を行った回数を表示します。

error status

発生中のエラー情報。
・MODEM ERROR:データ通信端末からの応答がないか、応答が正常ではありません。
・MODEM NOT READY:データ通信端末が利用できない状態です。
・SIM ERROR:SIMカードが正しく認識されないか、異常な状態です。
・SIM PIN WAIT:PIN認証が有効でPINコード入力待ちの状態です。
・SIM LOCKED:PIN認証に3回連続で失敗し、SIMカードがPINロック状態です。
・ANTENNA LEVEL INVALID:アンテナレベルが異常な状態です。
・ANTENNA LEVEL ZERO:アンテナレベル0(圏外)の状態です。

dead count

MODEM ERRORの検出回数。

sim error

SIM ERRORの検出回数。

antenna error

ANTENNA LEVEL INVALIDの検出回数。

recovery

自動リカバリ機能の有効/無効の設定状態。
・enable:有効
・disable:無効

zero-signal

アンテナレベル0検出時 給電OFF/ONの有効/無効の設定状態。
・enable:有効
・disable:無効

auto-reboot

自動リカバリ機能による装置再起動の有効/無効の設定状態。
・enable:有効
・disable:無効

zero-signal-reboot

アンテナレベル0検出時 装置再起動の有効/無効の設定状態。
・enable:有効
・disable:無効

attachment power recovery

未接続検出時 給電OFF/ONの有効/無効の設定状態。
・enable:有効
・disable:無効

attachment reboot recovery

未接続検出時 装置再起動の有効/無効の設定状態。
・enable:有効
・disable:無効

2.9.16.3. モバイル回線接続の統計情報の表示

モバイル回線への接続の成功/失敗回数などの統計情報を表示します。
統計情報は clear counters コマンドで消去できます。

項目

説明

操作モード

show mobile statistics

モバイル回線接続の統計情報の表示

EXECモード
グローバルコンフィグモード
インタフェースコンフィグモード
リスト 2.9.6 表示例
 MobileEthernet1.0
   outgoing connection
     success : 1
     fail    : 0
     peak connect (sec) : 1
   commands  : 44125
     success : 44125
     error   : 0
     fail    : 0

項目

説明

outgoing connection

モバイル回線接続の統計情報

success

モバイル回線への接続の成功回数

fail

モバイル回線への接続の失敗回数

peak connect (sec)

接続開始から接続完了までにかかった最大時間(秒単位)

commands

データ通信端末へのATコマンドやメッセージの発行数

success

正常応答数

error

異常応答数

fail

ATコマンドの実行/メッセージ送信の失敗数

注釈

commands の統計情報はdetailオプションを指定した場合に表示します。

2.9.17. QoS設定時の注意事項

2.9.17.1. 回線速度

データ通信端末のQoSやMIB情報、回線使用率で使用する回線速度は、デフォルトではそれぞれ以下に基づいて計算されます。
実際の回線速度は設置場所などで異なりますので、QoSを使用する場合、必要に応じて設定する必要があります。

計算に使用する回線速度

項目

計算に使用する回線速度

QoS

下り方向の最大速度

MIB情報

下り方向の最大速度

回線使用率

受信側の使用率:下り方向の最大速度
送信側の使用率:上り方向の最大速度
データ通信端末ごとのデフォルト回線速度

データ通信端末

デフォルト回線速度(下り)

デフォルト回線速度(上り)

EM7431

300Mbps

150Mbps

2.9.17.2. モバイル回線におけるQoS設定の注意事項

データ通信端末のモバイル回線では、有線によるインターネット回線や専用線接続と比べて一定の速度や遅延特性を確保することが難しくなる傾向があります。
QoSを設定する際には以下のような点に注意する必要があります。

  • 理論的回線速度と実際の速度が異なります。

    データ通信サービスの速度表記は、規格上の理論最大速度であり、実際にその速度で利用できるわけではありません。

  • 遅延が大きくなります。

    モバイル回線での遅延は、有線回線に比べて大きくなる傾向があります。

  • 遅延や速度が常に一定となりません。

    あらかじめ帯域や遅延を測定サイト等で測定したとしても、常に同等の帯域や遅延で通信できるわけではありません。

  • TOS値による制御はできません。

    TOS値をつけて送信してもモバイル通信網側で値がクリアされることがあります。

2.9.18. syslog

製品稼働中に発生するイベント情報や障害解析に必要な情報を収集します。
設定方法は「syslogによるログ情報監視」の章を参照してください。

モバイル機能に関連する機能のイベント情報種別は「mobile」です。
イベント情報の内容は「syslogリファレンスマニュアル」を参照してください。

2.9.19. SNMP

2.9.19.1. プライベートMIB

回線接続状況取得などのプライベートMIBに対応しています。
内容は付録の「プライベートMIB詳細」を参照してください。

2.9.19.2. トラップ

モバイル機能に関連するトラップには対応していません。

2.9.20. 注意事項

項目

内容

データ通信端末の高額課金について

データ通信端末の契約(ISPとの契約含む)には、利用したパケット量に応じて課金される「従量制」サービスがあります。
長時間の連続接続や、大量のデータを送受信した場合、高額な利用料金が発生する場合があります。
利用の際には、目的に応じた料金プランを選択し、想定されるデータ量を事前に把握した上で、通信料金には十分にご注意ください。

データ通信の連続通信、切断について

モバイル通信事業者のデータ通信は連続通信を保証しておりません。
そのため、長時間の連続通信や、大量のデータを送信した際には、事業者側から通信が切断される場合があります。
また、モバイル通信事業者によっては、その後の利用(速度や接続)に制限がかかる場合がありますのでご注意ください。

データ通信速度について

データ通信端末や対応する通信規格によって最大通信速度が異なります。
また、表記されている通信速度は、規格上の理論最大速度であり、実際の通信速度を示すものではありません。
モバイル通信事業者からはベストエフォート方式で提供されるため、実際の通信速度は通信環境やネットワークの混雑状況に応じて変化します。
また、同じデータ通信端末を使用しても、ご利用の地域によっては通信規格(速度)が異なる場合があります。
詳しくはご契約のモバイル通信事業者にご確認ください。

データ通信の遅延について

モバイル通信網を利用したパケット通信の場合、網内遅延が有線回線に比べて大きくなる傾向があります。
そのため、LAN上での利用を想定したアプリケーション等、遅延の影響を大きく受けるアプリケーションを利用される場合はご注意ください。

サポートしていない通信方式

UNIVERGE IX-Rシリーズでは5G回線のデータ通信には対応していません。

モバイル通信網のキャリアグレードNAT対応について

モバイル通信網ではモバイル通信事業者のネットワーク内でアドレス変換が行われる場合があります。
モバイル通信網を経由してIPsec接続を行う場合は、NATトラバーサルの使用を推奨します。

楽天モバイル

UNIVERGE IX-Rシリーズでは楽天モバイルの回線への接続はサポートしておりません。

内蔵モジュールのping応答

モバイル通信用パラメータが設定済みの場合、モバイルインタフェースが shutdown 状態であっても、内蔵モジュールは外部からの ping に対して自動応答します。
そのため、ping によるモバイルインタフェースの IP アドレスに対する死活監視を実施した場合、正しく状態を検出できない可能性がありますので、ご注意ください。
IPsec をご利用の場合、ping による死活監視を実施する場合は Tunnel インタフェースを利用し、トンネルの先の IP アドレスを監視することを推奨します。

2.9.21. トラブルシューティング

  1. モバイル通信網を経由して IPsec が張れたが、通信できない。

  • 事象:

    IPsec インタフェースのup、および、IPsec SA ができているが、通信できない。

  • 対策 :

    モバイル通信網では通信事業者のネットワーク内でアドレス変換が行われる場合があります。
    IPsec の NAT トラバーサル機能を有効化してください。
  1. モバイル通信網を経由して IPsec が張れたが、通信できない。

  • 事象:

    モバイル通信網を使用した通信ができない、通信が遅い、通信が不安定、通信が切断される。

  • 対策:

    以下のような syslog が出力される環境では電波が不安定である場合があります。
    mobile - 104 - Signal bar is out-range on Module1.
    mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 0 on Module1
    mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 1 on Module1
    設置場所の見直し、延長アンテナの取り付けによる電波環境の改善をしてください。
    内蔵モジュールでは show mobile status detail コマンドで電波の詳細情報を確認できます。

2.9.22. Q and A

  1. モバイル通信網を経由した通信に異常がある場合のログ確認方法を教えてください。

    まず、以下のsyslogを有効にして事象発生後、show tech-support を取得してください。
    syslog function mobile debug
    syslogにエラーログがないかご確認ください。
    以下のようなsyslogが出力されていた場合は電波環境が不安定の疑いがあります。
    mobile - 104 - Signal bar is out-range on Module1.
    mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 0 on Module
    mobile - 310 - Signal bar is changed from X to 1 on Module1

2.9.23. 付録

2.9.23.1. 海外モバイル通信事業者SIM(グローバルSIM)の利用可否

海外モバイル通信事業者が提供するSIM(グローバルSIM)の利用可否は、下記のとおりです。
利用可能な装置の内蔵モジュールは国際ローミングに対応しています。
接続可能なモバイル通信事業者は、「対応するデータ通信端末」の章に記載の対応キャリアになります。

装置

利用可否

IX-R2610

注釈

本製品の日本国外への持ち出し、および日本居住者以外の使用はできません。

2.9.23.2. アンテナレベルの各パラメータの内容

パラメータ

意味

RSSI(Received Signal Strength Indicator)(dBm)

受信信号強度

RS が存在する OFDM シンボル(Normal CP の場合 1 OFDM シンボルは約67μs)において LTE システム帯域全体の受信電力を測定した値。
基地局の設置条件や測定環境だけではなく、測定対象基地局や周辺基地局のトラフィック量によっても変化し、一般にトラフィック量が増えると LTE フレーム内のリソース割り当てが増えて RSSI が大きくなる。

RSRP(Reference Signal Received Power)(dBm)

信号の強さ

1 リソースエレメント(帯域 15kHz)あたりのRS(Reference Signal)受信電力。
基地局からの電波受信レベルを評価する基本的なパラメータ。
・基地局の送信出力
・アンテナの向き
・アンテナの高さ
など基地局の固定的な設置条件と、
・基地局からの距離
・障害物
などの測定環境によってほぼ決まる。

RSRQ(Reference Signal Received Quality)(dB)

信号の品質

RS の受信品質を表す指標の 1 つであり、(RSRP)/(RSSI)によって計算される。
1 リソースブロック内の RS 数は一定なので、帯域幅に関係なく RSRQ にて RS 品質を評価できる。

SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)(dB)

受信信号電力対干渉および雑音電力比

SIR(Signal to Interference Ratio)ともいわれる。
RS の受信品質を表す指標の 1 つ。
(RSRP)÷(RS と同じリソースブロックの 15kHz 帯域内に存在する干渉電力)によって計算される。
干渉電力には同じ帯域の隣接セルからの信号に加えて雑音成分も含まれる。
測定している RS と同一のセル(自局)のトラフィックの影響を受けずに、他のセル(他局)からの干渉のみを測定できることが特長。

注釈

データ通信端末や内蔵モジュールの電波のアンテナレベルは、RSSI/RSRP/RSRQ/SINR から算出されます。
アンテナレベルが 4 であれば十分な電波環境であると考えられます。
しかし、アンテナレベルはデータ通信端末や内蔵モジュールの受信感度であり、通信速度とは別ものになります。
必ずしも、アンテナレベルが高いほど、各パラメータの値がよいほど、通信速度が速くなるわけではありません。

一般的に、通信速度は RSSI/RSRP/RSRQ/SINR などが大きいほど安定しますが、基地局側の受信感度(つまり装置側からの送信方向の特性)、モバイル回線の混雑具合、センター側網内の混雑具合、設置場所のノイズなどの影響を受けますので、お客様の設置環境ごとに、あるいはご利用時間帯で通信速度は変化します。
そのため、RSSI/RSRP/RSRQ/SINR などがある一定以上あれば通信速度が保証されるわけではありません。

上記は拠点端末の受信方向の品質指標ですが、送信方向の品質指標として送信出力(Tx Power)を確認することがあります。
LTE 基地局の受信品質が悪い場合には基地局からの指示で拠点端末の送信出力を上げる場合があります。
仮に送信出力(Tx Power)が高い値(最大 21dBm)で張り付いている場合には送信側経路の LTE 無線区間の電波環境が悪い可能性があります。
ただし、機種によっては、Tx Power は実際にパケットデータを送信している瞬間の実測値を計測し、通信状態でないと有効な値を表示しない場合があります。

RSSI/RSRP/RSRQ/SINR/Tx Power などの値は確認可能ですので、通信速度を改善するために、利用時間帯での電波状況を解析、設置場所の変更や延長アンテナの利用なども検討し、よりよい通信環境を整備してください。

2.9.23.3. show mobile status detailの内容

データ通信端末によって表示が異なります。
モバイル回線品質情報のsyslogも同様の内容が記録されます。

EM7431の内容一覧

パラメータ

意味

Current Time

bootup からの秒数

Temperature

温度

Reset Counter

リセット回数

Mode

モデムのモード

System mode

帰属している網種別

PS state

端末が基地局から受けているサービスの状況

LTE band

帰属しているバンドの数字

LTE bw

帰属しているバンドの幅

LTE Rx chan

帰属している受信チャネル
DownLink Channel(EARFCN)の意味

LTE Tx chan

帰属している送信チャネル
Uplink Channel の意味

LTE SCC1 state

SCC 用 1 本目のキャリアアグリゲーションの状態。

LTE SCC1 band

帰属しているバンドの数字。(キャリアアグリゲーション時の SCC 用 1 本目)

LTE SCC1 bw

帰属しているバンドの幅。(キャリアアグリゲーション時の SCC 用 1 本目)

LTE SCC1 chan

帰属している受信チャネル。(キャリアアグリゲーション時の SCC 用 1 本目)

LTE SCC2 state

SCC 用 2 本目のキャリアアグリゲーションの状態。(必ず NOT ASSIGNED を表示)

LTE SCC3 state

SCC 用 3 本目のキャリアアグリゲーションの状態。(必ず NOT ASSIGNED を表示)

LTE SCC4 state

SCC 用 4 本目のキャリアアグリゲーションの状態。(必ず NOT ASSIGNED を表示)

EMM state

LTE ネットワークの C-Plane の状態

RRC state

無線ネットワークを制御する RRC(Radio Resource Control)の状態

IMS reg state

IMS サービスの状態

IMS mode

IMS サービスのモード

PCC RxM RSSI
PCC RxM RSRP

メインアンテナ、メインバンドの RSSI と RSRP

PCC RxD RSSI
PCC RxD RSRP

サブアンテナ、メインバンドの RSSI と RSRP

SCC1 RxM RSSI
SCC1 RxM RSRP

メインアンテナ、サブバンドの RSSI と RSRP

SCC1 RxD RSSI
SCC1 RxD RSRP

サブアンテナ、サブバンドの RSSI と RSRP

Tx Power

送信出力

TAC

ネットワーク上で管理される端末の位置を示すセル単位のコード

RSRQ (dB)

信号の品質

Cell ID

基地局番号(物理)

SINR (dB)

受信信号電力対干渉および雑音電力比

注釈

SCC はキャリアアグリゲーション(CA)で基地局からサブバンドが割り当てられているときに表示されます。割り当てられない場合は PCC のみ表示されます。
show mobile status で表示される RSRP と RSSI は PCC と SCC の平均値を表します。