2.3. 物理、リンクレイヤの設定
物理、リンクレイヤの設定について必要なコマンドは次のとおりです。インタフェースのそれぞれの特性については、付録を参照してください。
2.3.1. デバイス、インタフェース名表記法
デバイスおよびインタフェース名の表記方法について説明します。
UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでのデバイス、インタフェース名表記法は以下のようになります。
- デバイス名表記法
[DEVICE][port]
項目
説明
[DEVICE]
デバイス種別
[port]
ポート番号(種別ごとに0からカウント)
GE2ポート:GigaEthernet2
- インタフェース名表記法(一般)
[INTERFACE][port].[sub-interface]
項目
説明
[INTERFACE]
インタフェース種別
[port]
ポート番号(種別ごとに0からカウント)
[sub-interface]
サブインタフェース番号(物理インタフェースは0)
GE2ポート基本:GigaEthernet2.0
- インタフェース名表記法(ポートVLAN)
[INTERFACE][port]:[group].[sub-interface]
項目
説明
[INTERFACE]
インタフェース種別
[port]
ポート番号(種別ごとに0からカウント)
[group]
ポートVLANグループ番号
[sub-interface]
サブインタフェース番号(物理インタフェースは0)
VLANグループ2:GigaEthernet2:2.0
2.3.2. GigaEthernetインタフェースの設定
UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでは、GigaEthernet(1000/100/10Mbps、10Gbps、2.5/5Gbps)をサポートします。
注意
UNIVERGE IX-V シリーズでは、デバイスモードの設定は利用できません。
インタフェースの設定
デバイスコンフィグモード
項目
説明
speed
Rateの設定
duplex
Duplexの設定
no shutdown
デバイスの有効設定
keepalive
デバイス(インタフェース)ダウン検出時間の設定
インタフェースコンフィグモード
項目
説明
no shutdown
インタフェースの有効設定
auto-connect
PPP切断時、自動再接続有効設定PPPoEインタフェースのときに有効encapsulation
サブインタフェースのカプセル化方式設定PPPまたはVLANタギングの設定で使用表示コマンド
項目
説明
show interfaces
インタフェースの動作状態表示
show devices
デバイスの動作状態表示
2.3.2.1. MDI/MDI-X指定設定
UNIVERGE IX-R シリーズのイーサネットポートは、MDI/MDI-X指定設定をサポートしています。
注意
UNIVERGE IX-V シリーズでは、MDI/MDI-X指定設定は利用できません。
当該ポートはAuto-MDI/MDI-X機能をサポートしていますが、speedとduplexがともに固定設定である場合、Auto-MDI/MDI-X機能は無効となります。この時、ポートがMDI/MDI-Xのどちらの接続方式で固定動作するかを、デバイスコンフィグモードによって指定できます。
コマンドは以下のとおりです。
デバイスコンフィグモード
項目
説明
mdi-mdix
固定動作時のMDI/MDI-Xの設定port mdi-mdix
固定動作時のMDI/MDI-Xの設定(指定ポート)※SW-HUBポートでのみ実行可能Router(config)# device GigaEthernet0 Router(config-GigaEthernet0)# speed 100 Router(config-GigaEthernet0)# duplex full Router(config-GigaEthernet0)# mdi-mdix mdi
注釈
UNIVERGE IX-V シリーズでは未サポートです。
MDI/MDI-X指定設定については、以下の注意事項があります。
speedかduplexがオート設定の場合、本機能で指定した値に関わらず、ポートの接続方式はAuto-MDI/MDI-X機能によって決定されます。
2.3.3. GigaEthernetインタフェース(スイッチングHUB)の設定
スイッチングHUB(SW-HUB)の設定方法について説明します。
注意
UNIVERGE IX-V シリーズでは、スイッチングHUBは利用できません。
スイッチングHUBモジュールは、Ethernetインタフェースに繋がる外付けハブと同様に考えることができます。
ポートVLANでは、運用の際にはいくつかの注意が必要です。詳細はポートVLANの設定の項を参照してください。
内部的には以下の図のようになっています。
注釈
UNIVERGE IX-V シリーズでは未サポートです。
2.3.3.1. ポートの設定
特定ポートを指定しないduplex, speedコマンドは、SW-HUBポート全体に直接作用します。ただし、speedコマンドでインタフェース速度を10Mbpsとした場合でも、EthernetコントローラとSW-HUBは外部インタフェースの最大速度と同じ速度で接続されています。このため、QoSなどのコスト計算でインタフェース速度の値を使用する場合には注意が必要です。
設定および表示コマンドは以下のとおりです。
スイッチングHUBの設定
デバイスコンフィグモード
項目
説明
speed
Rateの設定(全ポート)
duplex
Duplexの設定(全ポート)
shutdown
デバイスの停止設定(全ポート)
port speed
Rateの設定(指定ポート)
port duplex
Duplexの設定(指定ポート)
port shutdown
デバイスの停止設定(指定ポート)
表示コマンド
項目
説明
show devices
デバイスの動作状態表示
show interfacesの表示例です。
Router(config-GigaEthernet2)# show interfaces GigaEthernet2.0 Interface GigaEthernet2.0 is down Fundamental MTU is 1500 octets Current bandwidth 1G b/s, QoS is disabled On-link header cache type is none, 0 allocs, 0 overflow SNMP MIB-2: ifIndex is 102 Logical INTERFACE: Elapsed time after change status 12d20h52m54s Elapsed time after clear counters 12d20h52m51s 0 packets input, 0 bytes, 0 errors 0 unicasts, 0 non-unicasts, 0 unknown protos 0 drops, 0 misc errors 1 output requests, 42 bytes, 0 errors 0 unicasts, 1 non-unicasts 0 overflows, 0 neighbor unreachable, 0 misc errors 0 link-up detected, 0 link-down detected Encapsulation ETHERNET: Virtual Bridged LAN: Group N/A status is down Assigned ports: 3 4 0 input frames, 1 output frames Group 1 status is down Assigned ports: 1 0 input frames, 0 output frames Group 2 status is up, 1G b/s Assigned ports: 2 249995 input frames, 653 output frames
デバイスコンフィグモードでのspeedコマンドによって、以下のように変更されます。
Interface GigaEthernet2.0 Current bandwidth 100000000 b/s ... 100Mbps : GigaEthernet statistics: Full-duplex, 100Mb/s, 100BaseTX ... 100Mbps : Extended card is Switching Hub(4 port) Hub Port 1 is up Full-duplex, 100Mb/s, 100BaseTX ... 100Mbps or 10MbpsInterface GigaEthernet2.0 Current bandwidth 10000000 b/s ... 10Mbps : GigaEthernet statistics: Full-duplex, 10Mb/s, 100BaseTX ... 10Mbps : Extended card is Switching Hub(4 port) Hub Port 1 is up Full-duplex, 10Mb/s, 100BaseTX ... 10Mbps
2.3.3.2. ポートモニタ設定
SW-HUBの指定したポートにて送受信したパケットを、SW-HUB内の別のポートに送信することができます。
ポート1で送受信したパケットをポート4に送信。 device GigaEthernet2 port 1 mirror-port 4 both vlan-group 4 port 4 ! interface GigaEthernet2.0 ip address 10.0.0.1/24 no shutdown
注釈
ポートモニタについては、以下の注意事項があります。
モニタポートを1つのみ設定可能です。
複数ポートのパケットを1つのポートに送信することはできません。
送信先として指定したポートは、通常のパケットの送受信はできません。
SW-HUBとイーサネットコントローラ間のモニタはできません。
- ミラーポートに設定したポートは、モニタポートとは別なVLANに設定してください。(ミラーポートとモニタポートが同じVLANに設定されている場合、ミラーポートがリンクアップしている際に、モニタポートを含むインタフェースのダウンが検出できません)
2.3.3.3. リンクアグリゲーションの設定
UNIVERGE IX-R シリーズでは、リンクアグリゲーション機能に対応しています。リンクアグリゲーション機能を使用することにより、複数のポートを1つの論理ポートとして利用することが可能となります。
同一リンクアグリゲーショングループ(LAG)に属しているポートに対して、アップしているポートの中から、送信先MACアドレス、送信元MACアドレスを元に送信ポートを決定します。ポートがダウンした場合、MACアドレスを元に残りのアップしているポートの中から再度送信ポートを決定します。
注釈
リンクアグリゲーション機能には以下の制限があります。
HUBポートでのみ使用可能です。
静的設定のみ対応しています。LACP等の動的設定には対応していません。
リンクアグリゲーション機能を使用して回線の増速(たとえば1Gポートを2ポート使用して2Gbpsの通信を行う)はできません。
モニタポート・ミラーポートとの併用はできません。
リンクアグリゲーションの設定は以下のとおりです。
デバイスコンフィグモード
項目
説明
port link-aggregation
リンクアグリゲーションの有効設定
device GigaEthernet2 port 1 link-aggregation 1 port 2 link-aggregation 1
1つのLAGに対して、複数の物理ポートを指定することができます。ただし、1つの物理ポートに対して複数のLAGを設定することはできません。また、ポートVLANを併用する場合、同一LAGに指定するポートはすべて同一ポートVLANに指定する必要があります。
2.3.4. Loopbackインタフェースの設定
UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでは、ループバックインタフェースをサポートしています。
ループバックインタフェースは内部的なインタフェースであり、直接外部には見えないインタフェースです。絶対に落ちないインタフェースとして利用することができます。
どのインタフェースにも属さないIPv4アドレスまたはIPv6アドレスを付加し、他のインタフェースから参照(unnumbered)させるなどの利用方法があります。
LoopbackインタフェースとNullインタフェースの相違点は、Loopbackインタフェースに対してパケットを送出した場合、自分自身に対してパケットが再帰的にもどってきますが、Nullインタフェースはそのパケットを廃棄します。この動作以外は、同等の動作が可能です。
なお、LoopbackインタフェースにはLoopback0.0とLoopback1.0の2つのインタフェースが用意されています。これらのインタフェースはIPv6のスコープゾーンの扱いに関して違いがありますので、IPv6の章のスコープゾーンとインタフェースの項を参照してください。
2.3.5. Nullインタフェースの設定
UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでは、Nullインタフェースをサポートしています。
Nullインタフェースは内部的なインタフェースであり、直接外部には見えないインタフェースです。絶対に落ちないインタフェースとして利用することができます。
Nullインタフェースの利用方法としては、正常にルーティングできないパケットについて、スタティックルートをNullインタフェースに設定しておくことで、不要なパケットを明示的に廃棄することができます。
LoopbackインタフェースとNullインタフェースの相違点は、Loopbackインタフェースに対してパケットを送出した場合、自分自身に対してパケットが再帰的にもどってきますが、Nullインタフェースはそのパケットを廃棄します。この動作以外は、同等の動作が可能です。
Null0.0は、設定の有無に関わらずインタフェースがupとなります。そのため、何も設定せずに使用することができます。
2.3.6. トンネルインタフェースの設定
UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでは、種々のトンネル機能をサポートしています。詳細はトンネルの節にて説明します。トンネルも、通常のインタフェースの1つとして振舞います。