4. 保守・運用

本章では、UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズの設定の変更、保存について説明します。

4.1. 設定の変更

設定コマンドは通常はコマンド入力時に反映されます。本項では、即時反映されないコマンドについて説明します。

4.1.1. 再起動が必要なコマンド

設定を反映させるために再起動が必要なコマンドは、コマンド実行後次のようなメッセージが表示されます。

% You must restart the router for this configuration to take effect.

該当するコマンドは次のとおりです。

項目

備考

default-console

Ver1.2以降

nm provisioning enable/disable

Ver1.2以降

4.1.2. 操作が必要なコマンド

設定を反映させるために、セッションのリセット等が必要な場合があります。

該当するコマンドは次のとおりです。

  • QoS関連コマンド

    項目

    参考

    class-map
    policy-map
    (1)service-policy outputを削除後再設定
    (2)clear policy-map interface(Ethernetのみ)
  • BGP関連コマンド

    項目

    参考

    cluster-id

    clear ip bgp * を実行

    default-local-preference

    clear ip bgp * を実行

    default-metric

    clear ip bgp * を実行

    router-id

    clear ip bgp * を実行

    timers

    clear ip bgp * を実行

    neighbor connect-interval

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor distribute-list

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor ebgp-multihop

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor next-hop-self

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor route-map

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor route-reflector-client

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor send-capability

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor send-default

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

    neighbor timers

    clear ip bgp [該当ピアのアドレス]を実行

  • OSPF関連コマンド

    項目

    参考

    router-id

    clear ip ospf process を実行

    distribute-list

    clear ip ospf process を実行

    distance

    clear ip ospf process を実行

  • RIP関連コマンド

    項目

    参考

    distance

    clear ip rip process を実行

  • IKE/IKEv2関連コマンド

    項目

    参考

    全コマンド

    SAクリア後有効になります。

  • PPP関連コマンド

    項目

    参考

    ppp profile

    clear interfaceを実行

4.2. 設定の保存

一部の操作を除き、装置の設定変更は揮発性メモリ上のランニングコンフィグを書き換えています。
そのため、ランニングコンフィグのデータは装置のリロード(reloadコマンド)や電源OFFを行うと消えてしまいます。

装置起動後も設定内容を有効にしたい場合、設定データを内部の不揮発性メモリ(フラッシュ)上のスタートアップコンフィグやデフォルトコンフィグに保存する必要があります。

4.2.1. スタートアップコンフィグ

スタートアップコンフィグに設定を保存するためのコマンドは次のとおりです。

write memory

また、以下のコマンドによる設定保存もサポートされています。内部動作は、write memoryコマンドと同じ動作を行います。

copy running-config startup-config

設定未保存状態の場合、以下のメッセージが表示されます。保存が必要な場合は、上記の設定の保存を行ってください。

% Warning: current running-configuration is not saved yet.

上記のメッセージは、次の場合に表示されます。

  • reload実行時

スタートアップコンフィグは、以下のコマンドで消去することができます。

erase startup-config

次に設定情報の格納の動作原理を示します。

../_images/01.svg

図 4.2.1 設定情報の格納の動作原理

4.2.2. デフォルトコンフィグ

UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでは、不慮の事故等でスタートアップコンフィグが破壊された場合などにデフォルトコンフィグの内容で起動することができます。

4.2.2.1. デフォルトコンフィグの特徴

  • デフォルトコンフィグは、スタートアップコンフィグが存在しない場合に、起動時にランニングコンフィグに読み出されます。

    ../_images/02.svg

    図 4.2.2 スタートアップコンフィグが存在しない場合の起動時の動作

  • コピーコマンドで上書きできません。

注釈

デフォルトコンフィグに設定を保存する場合には、一度erase default-configにてデフォルトコンフィグを消去する必要があります。

4.2.2.2. デフォルトコンフィグの設定

デフォルトコンフィグは、以下のコマンドにより保存することができます。

copy running-config default-config
copy startup-config default-config
copy address:filename default-config

デフォルトコンフィグは、以下のコマンドにより消去することができます。

erase default-config

ブートモニタで、デフォルトコンフィグを消去するには、以下のコマンドを使用します。ただし、このコマンドでは不揮発性メモリに保存された設定内容をすべて消去しますので、デフォルトコンフィグだけでなくスタートアップコンフィグも消去されます。

  • ブートモニタモード

    項目

    説明

    cc

    不揮発性メモリの設定内容の全消去

    リスト 4.2.1 表示例
    Router# reload
    Notice: The router will be RESTARTED.
    Are you sure you want to restart the router? (Yes or [No]): yes
    factory mode (Input Ctrl+C):  3 <CTRL-C>
    boot[0]>
    boot[0]> cc
    Enter "Y" to clear startup configuration: Y
    boot[0]>
    

4.2.3. サービスコンフィグ

注意

UNIVERGE IX-V シリーズでは、サービスコンフィグは利用できません。

サービスコンフィグはマルチベンダ管理機能などの拡張機能の設定のファイルで、不揮発性メモリに保存されます。 以下のコマンドでサービスコンフィグモードに入りサービス形式コンフィグを入力できます。

service config import json

サービスコンフィグは、以下のコマンドにより表示することができます。

service config export json

サービスコンフィグは、以下のコマンドにより消去することができます。

service config erase json

サービスコンフィグの内容はスタートアップコンフィグには含まれません。既設ルータから新ルータへコンフィグを引き継ぐ場合は以下のよう行います。

  1. 既設ルータのグローバルコンフィグモードでservice config export jsonコマンドを実行

  2. 出力されたサービスコンフィグの内容をコピー

  3. 新ルータでservice config import jsonコマンドを実行

  4. 2.でコピーした内容をペースト

  5. 「Ctrl」+「d」でグローバルコンフィグモードに戻る

4.3. 設定値の調整

UNIVERGE IX-R/IX-V シリーズでは、性能を最大限に引き出すために、効率的な稼動状態にする調整機構があります。利用環境によっては調整を実施した方がよい場合があります。本項では調整が必要な項目について、設定値を決定するための目安を説明します。

変更可能な項目には、次の項目があります。

項目

内容

ルートエントリ数

ルートエントリ数の設定を行います。

OSPFルートエントリ数

OSPFのルートエントリ数の設定を行います。

NAT/NAPTエントリ数

NAT/NAPTのエントリ数の設定を行います。

UFSキャッシュエントリ数

UFSキャッシュのエントリ数の設定を行います。

4.3.1. ルートエントリ数

ルートエントリはルータが持つ経路情報を格納するテーブルとなります。

  • 宛先ネットワークアドレス

  • ネクストホップ

ルートエントリは、スタティックに設定した経路、ルーティングプロトコルにより学習した経路が含まれます。ルートエントリ数を超えると、それ以上経路情報は作成されません。また、ルートエントリは、スタティックの経路の場合は削除されません。ルーティングプロトコルから学習した経路はルーティングプロトコルから学習している間は削除されません。

ルートエントリ数はデフォルトでは、IPv4, IPv6ともに100000となります。指定したサイズ分のメモリを確保します。値を増やすとメモリの消費量も増えますので、値を変更する場合は、メモリの容量にご注意ください。

IPv4, IPv6ともに設定可能です。設定コマンドは以下のとおりです。

  • グローバルコンフィグモード

    項目

    説明

    ip max-route

    最大ルートエントリ数設定(デフォルト:100000)

    ipv6 max-route

    最大動的ルート数の設定(デフォルト:100000)

  • 表示コマンド

    項目

    説明

    show ip route

    IPv4ルート情報の表示

    show ipv6 route

    IPv6ルート情報の表示

    show memory

    メモリ(Heap memory)の確認

    リスト 4.3.1 設定例:IPv4の場合
    ip max-route 4000
    
    リスト 4.3.2 設定例:IPv6の場合
    ipv6 max-route 1000
    

4.3.2. OSPFルートエントリ数

OSPFが学習した各種情報の数になります。
  • エリアボーダルータ(ABR)のアドレス

  • ASボーダルータ(ASBR)のアドレス

  • 経路情報

  • AS外部経路のネクストホップアドレス(Forwarding Address)

ルータのルートエントリと同様に経路を学習した時に作成し、経路が無くなると削除されます。
デフォルトではIPv4最大経路数 ip max-route の設定設定値となります。
OSPF以外の経路情報も経路再配信のためにOSPFルートエントリとして作成され、メモリを消費します。
エントリが増える毎にメモリを消費するため値を変更する際は残りのメモリ量にご注意ください、
設定コマンドは以下のとおりです。
  • OSPFv2コンフィグモード

    項目

    説明

    rib max-entries

    OSPFルートエントリ数の設定

    リスト 4.3.3 設定例
    ip router ospf 1
      rib max-entries 3000
    
  • 表示コマンド

    項目

    説明

    show ip ospf rib

    OSPFルートエントリの確認

    show memory

    メモリ(Heap memory)の確認

4.3.3. NAT/NAPTエントリ数

NAT/NAPTのアドレス変換用に使用するキャッシュとなります。以下の項目でキャッシュを作成します。

  • 宛先アドレス

  • 宛先ポート(NAPT時)

  • 送信元アドレス

  • 送信元ポート(NAPT時)

  • プロトコル

NAT/NAPTエントリは、最初にアドレス変換を行う際に作成され、一定時間通信が無ければ削除されます。エントリ数の上限を超えると、新しいエントリが作成できず通信は破棄されます。デフォルト値では不足する場合もありますので、必要に応じて設定変更してください。

設定値を増やす場合はメモリの消費量が増えることにご注意ください。メモリはエントリ作成時に確保されます。

設定コマンドは以下のとおりです。

  • インタフェースコンフィグモード

    項目

    説明

    ip nat translation max-entries

    NATエントリ数の設定

    ip napt translation max-entries

    インタフェース単位でのNAPTエントリ数の設定

    ip napt translation max-entries per-address

    ホスト単位でのNAPTエントリ数の設定
    (デフォルト:ホスト単位制限なし)
  • 表示コマンド

    項目

    説明

    show ip nat translation

    NATエントリ数の確認

    show ip napt translation

    NAPTエントリ数の確認

    show memory

    メモリ(Heap memory)の確認

    リスト 4.3.4 設定例
    interface GigaEthernet0.0
      ip napt translation max-entries 10000
      ip napt translation max-entries per-address 1000
    

4.3.4. UFSキャッシュエントリ数

UFSキャッシュエントリは、パケット転送のセッションパラメータ毎(アドレス、プロトコル、ポート番号)に作成され、一定時間通信が無ければ削除されます。エントリ数の上限を超えると、新>しいエントリが作成できず、転送性能が低下します。デフォルト値では不足する場合もありますので、必要に応じて設定変更してください。

設定値を増やす場合はメモリの消費量が増えることにご注意ください。メモリはエントリ作成時に確保されます。

設定コマンドは以下のとおりです。

  • グローバルコンフィグモード

    項目

    説明

    ip ufs-cache max-entries

    IPv4 UFSキャッシュエントリ数設定

    ipv6 ufs-cache max-entries

    IPv6 UFSキャッシュエントリ数設定

  • 表示コマンド

    項目

    説明

    show ip protocols

    IPv4 UFSキャッシュ数状態(UFS cache bucket)の確認

    show ipv6 protocols

    IPv6 UFSキャッシュ数状態(UFS cache bucket)の確認

    show memory

    メモリ(Heap memory)の確認

4.4. LED状態

対応する装置に関しては、ハードウェア諸元の項を参照してください。

show hardwareコマンドでも点灯状態を確認できます。

LED

状態

条件

PWR

緑点灯

電源がONの場合

緑点滅

装置初期化処理中

赤点灯

障害が発生した場合

青点灯

フラッシュメモリにアクセス中
青点灯中は装置の電源をOFFにしないでください。
以下のような場合、フラッシュメモリにアクセスを行います。
  • write memory実行中

  • ロードモジュール更新中

  • copyコマンド実行中

VPN

消灯

VPNが接続していない状態

緑点灯

送受信のIPsec-SAが存在する場合
IPsec設定が複数存在する場合は、いずれかSAが存在している場合

緑点滅

装置初期化処理中

PPP

消灯

PPPoEが接続していない状態
この状態が継続する場合、物理接続、ケーブル等の確認を行ってください。

緑点灯

通信が可能な状態
IPCPがOPENしている場合
複数PPP設定が存在する場合は、いずれかが通信可能となった場合

緑点滅

装置初期化処理中

BAK

緑点灯

ネットワークモニタのイベントが発生時のアクションとして指定
複数のネットワークモニタで設定している場合は、いずれかのアクションが実行されている場合。
コマンドはネットワークモニタの項を参照してください。

緑点滅

装置初期化処理中