5. 基本操作方法

5.1. コマンド入力と画面表示について

5.1.1. コマンド入力

本装置はコマンドライン(Command Line Interface : コマンドラインインタフェース)でコマンドを受け付けます。
コマンドは表示されているプロンプトに続けて、1つまたは複数のコマンドをスペースで区切って入力します。
また、パラメーターが必要なコマンドもコマンドとの間をスペースで区切って入力します。
入力は、1バイト文字(半角)の英数字、記号で行います。
一部のコマンド(ログイン、パスワードなど)を除いて、大文字、小文字の区別はありません。

5.1.2. 利用可能な文字

コマンドは「アスキー文字」のみ利用可能です。
なお、以下のアスキー文字の入力はできません。
  • 制御文字

一部のコマンドでは、以下の文字も利用できません。

  • 空白 スペース

  • クエスチョンマーク(?)

  • ダブルコーテーション(")

一部の設定を除き、大文字、小文字の区別はありません。

5.1.3. カーソル移動

コマンドライン上で、カーソルを左右に移動することができます。

カーソル移動

[←] または [Ctrl]+[B]

1文字カーソルの左に移動します。

[→] または [Ctrl]+[F]

1文字カーソルの右に移動します。

[Ctrl]+[A]

行の先頭へジャンプします。

[Ctrl]+[E]

行の終わりへジャンプします。

Router# configure[]
                 ↓ [←] または [Ctrl]+[B] (1文字左へ)
Router# configur[e]
                 ↓ [Ctrl]+[A] (行の先頭へ)
Router# [c]onfigure
                 ↓ [→] または [Ctrl]+[F] (1文字右へ)
Router# c[o]nfigure
                 ↓ [Ctrl]+[E] (行の終わりへ)
Router# configure[]

5.1.4. コマンドの文字編集

カーソル移動と併用することで、コマンドライン上の文字を削除、編集することができます。

コマンドの文字編集

[BackSpace]

カーソルの左の1文字を削除します。

[Ctrl]+[K]

カーソル位置から行末まで削除します。

[Ctrl]+[C] または [Ctrl]+[D]

コマンドラインの文字入力をキャンセルします。

Router# conf[o]figer
                 ↓ [BackSpace] (カーソルの左の1文字「f」を削除)
Router# con[o]figer
                 ↓ [Ctrl]+[K] (カーソル位置から行末まで削除)
Router# con[]
                 ↓ [Ctrl]+[C] または [Ctrl]+[D] (文字入力をキャンセル)
Router#

5.1.5. コマンドの補完

入力した文字列で始まるコマンドが1つだけの場合、[Tab]を押すとコマンドの残りの文字列を補完できます。

Router# conf [Tab]
Router# configure
入力した文字列で始まるコマンドが複数ある場合に[Tab]を押すと、コマンドは補完されません。
入力途中の文字列で始まる補完可能なコマンドが表示されます。
Router# t [Tab]
  terminal    -- Temporary terminal setting
  traceroute  -- Trace route to IPv4 destination

5.1.6. コマンドの省略入力

入力した文字列で始まるコマンドが1つだけの場合、[Enter]を押すとそのままコマンドを実行することができます。

Router# conf [Enter]
Router(config)#
また、複数の単語を組み合わせたコマンドの場合も、それぞれの単語が省略可能であれば単語ごとの省略入力が可能です。
単語の間はスペースで区切ります。
以下の例は、write memoryコマンドを省略して実行しています。
Router(config)# wr me [Enter]
Router(config)#

5.1.7. コマンドのヘルプ機能

[?]を押すと、押した時点で利用可能なコマンドまたはパラメーターの説明が表示されます。

Router(config-GigaEthernet0.0)# ip address [?]
  A.B.C.D/<0-32>  -- IP address
  dhcp            -- Enable DHCP dynamic address assign
  ipcp            -- Enable IPCP dynamic address assign
  map-e           -- Enable MAP-E dynamic address assign
Router(config-GigaEthernet0.0)# ip address

メモ

[Tab]をヘルプ機能として代用することも可能です。
ただし、[Tab]はコマンド補完機能ですので候補が1つしかない場合には説明表示ではなくコマンドを補完します。

5.1.8. 実行済みコマンドの再表示

キー操作により、今までに実行したコマンドを再表示することができます。
再表示したコマンドは、編集や実行ができます。
  • [↑] または [Ctrl]+[P]
    • 実行済みコマンドを新しい順に再表示します。

メモ

再起動またはログアウトすると、コマンド履歴はクリアされます。

本装置起動後、configure → show running-config → show ip route の順に3つのコマンドを入力していた場合、以下に示す順序で再表示できます。

Router(config)#
                      ↓ [↑] または [Ctrl]+[P]
Router(config)# show ip route
                      ↓ [↑] または [Ctrl]+[P]
Router(config)# show running-config
                      ↓ [↑] または [Ctrl]+[P]
Router(config)# configure
                      ↓ [↑] または [Ctrl]+[P]
Router(config)# configure
  • [↓] または [Ctrl]+[N]
    • [↑] または [Ctrl]+[P]にて実行済みコマンドを新しい順に再表示したあと、表示を遡って表示します。

本装置起動後、3つのコマンドを configure → show running-config → show ip route の順に入力していた場合、以下に示す順序で再表示できます。

Router(config)#
                      ↓ [↑] または [Ctrl]+[P]
Router(config)# show ip route
                      ↓ [↑] または [Ctrl]+[P]
Router(config)# show running-config
                      ↓ [↓] または [Ctrl]+[N]
Router(config)# show ip route
                      ↓ [↓] または [Ctrl]+[N]
Router(config)#

5.1.9. その他便利機能

モード移行やログアウトなどをショートカットキーで実行することができます。

便利機能

[Ctrl]+[Z]

EXECモードに移行します。
EXECモードについては{5.2. モードについて}をご参照ください

[Ctrl]+[Y]

ログアウトします。

上記以外にもhelpコマンドで表示されるショートカットキーに対応しています。

5.1.10. コマンド入力時のエラーメッセージ

誤ったコマンドやユーザー権限で認められていないコマンドを実行した場合は、エラーメッセージ「Invalid command.」が表示されます。

Router# ng
% ng  -- Invalid command.
Router#

5.1.11. 画面表示

行数の多い情報が表示される場合は、表示の途中で「--More--」が表示され表示が止まります。
次の数行を表示する場合は[Space]を、1行ずつ表示していく場合は[Enter]を押します。
また、[Ctrl]+[C]、[Q]を押すと続きの表示を中止し、プロンプトを表示します。
Router(config)# show running-config
! NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE
! Compiled Wed 06 Mar 2024 01:49:55 PM JST
! Current time Mar 07-Thu-2024 07:52:58 JST
!
timezone jst
!
username test-user password secret $1$Lgwh4pkYCT8l5OJwY8IlAA==$ANho7bCNzJtWCs+4XzBdCzvusDBLMZrfW/hZt8NAdP23hpB5kM/dcO1m3WCPn9XpPZjsdNAG4Bp3YJ30aHNx/V/zwySW80sfz8e3Ut2H3RAimMo7+LZQx2TfXvk0drPNyuRiviuO1eY7Eh+5DTfSRQ== administrator
!
!
!
!
!
!
!
!
!
http-server username test-user secret-password @84f9b0805d4cdb14707a723e2f104ec0a361a6f46e7e1a97e9ac5830f59ff228
!
!
!
!
!
!
--More--

メモ

デフォルトでは24行で表示が止まります。
terminal lengthコマンドで表示する行数を変更できます。

5.1.12. 起動時のメッセージ

本装置の電源スイッチをONにすると、次の順序で処理が行われます。

1. 本装置の自己診断(POST)を行います。 各項目が「Pass」と表示されることを確認してください。

メモ

「Fail」と表示された場合は、ハードウェア異常となりますので、POWERランプが赤点灯します。
本製品をお買い求めの販売店または担当のサービスセンターにご連絡ください。
  1. メインのプログラムファイルをロードします。

メモ

メインのプログラムファイルについては、{7.3.2. プログラムファイル2面管理機能}をご参照ください。

  1. プログラムファイルをDRAMにロードし、本装置のソフトウェアを起動します。

  2. スタートアップコンフィグをDRAMにロードし、ランニングコンフィグとします。 | スタートアップコンフィグがない場合には、工場出荷時の初期状態で起動します。
NEC Diagnostic Software
Copyright (c) NEC Corporation 2023-2024. All rights reserved.

DIAG-INFO: Starting System POST(Power On Self Test)

               DRAM TEST 1: Pass
               DRAM TEST 2: Pass
                  PLD TEST: Pass
                  RTC TEST: Pass
        2.5 VOLTAGE STATUS: Pass
        3.3 VOLTAGE STATUS: Pass
        5.0 VOLTAGE STATUS: Pass
       12.0 VOLTAGE STATUS: Pass
        TEMPERATURE STATUS: Pass
                FAN STATUS: Pass
                  GE0 TEST: Pass
                  GE1 TEST: Pass
       GE2(SW-HUB)1-4 TEST: Pass
                  USB TEST: Pass
Model: IX-R2530 Board
       Watchdog enabled
DRAM:  3.9 GiB (DDR4, 64-bit, CL=11, ECC off)
Using SERDES1 Protocol: 4403 (0x1133)
MMC:   FSL_SDHC: 0
SEC0:  RNG instantiated
Net:
MMC read: dev # 0, block # 103808, count 128 ...
Fman1: Uploading microcode version 106.4.18

Trying load from eMMC ..

MMC read: dev # 0, block # 1064960, count 131072 ... 131072 blocks read: OK

MMC read: dev # 0, block # 103552, count 16 ... 16 blocks read: OK
ethernet2: ether-if-index=2
ethernet6: ether-if-index=0
ethernet7: ether-if-index=1
PCIe1: pcie@3400000 disabled
PCIe2: pcie@3500000 disabled
PCIe3: pcie@3600000 disabled

Starting kernel ...

Machine model: IX-R2530
earlycon: uart8250 at MMIO 0x00000000021c0500 (options '')
printk: bootconsole [uart8250] enabled
.....................................................................................................


NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE

Router login:

5.1.13. 温度アラーム

本装置は起動後、定期的に装置内部温度を測定しています。
アラーム検出温度に到達した場合、温度アラームが発生します。

<アラーム検出温度>

IX-R2530 : -1℃以下または66℃以上

温度アラームは、以下の方法で確認することができます。

  • POWERランプの赤点灯

  • show environment historyコマンドで確認

    • Internal temperature(装置内部温度)の値が正常温度の範囲外であった場合、ステータスがfaultとなり温度アラームが現在発生していることを示します。
      また、maximum(最高温度)またはminimum(最低温度)が正常温度の範囲外であった場合、起動してから現在までの間に温度アラームが発生していたことがわかります。
Router(config)# show environment history


  Internal temperature:
    Internal temperature measured at 54.0C
    Status is normal

    maximum  61.0C 2024/02/16 07:42:50
    minimum  43.0C 2024/02/15 23:37:45
    total fault time 0d0h0m
  • show error-logコマンドで確認

    • 「ALERT: Temperature fault」が表示された場合、温度アラームが発生している、あるいは過去に温度アラームが発生していたことを示します。

Router(config)# show error-log

メモ

温度アラームで検出する「アラーム検出温度」は装置内部温度です。
カタログなどに記載している「環境条件」は外気温度です。

5.2. モードについて

5.2.1. モード構成

本装置は、モードコンフィグを採用しています。
コマンドは、適切なモードに移行して実行する必要があります。
現在滞在しているモードは、プロンプトの表示内容から確認できます。

注釈

プロンプトの「Router」部分は、hostnameコマンドで設定した文字列に切り替わります。
設定した文字列に切り替わります。

モード

説明

初期ユーザー登録モード

初回起動時にのみ入るモードです。
ユーザーの追加コマンドを利用できます。
プロンプトは「Router(init)# 」です。

EXECモード

任意設定したログイン後に入るモードです。
ルータの状態表示や装置の再起動(reload)コマンドを利用できます。
ルータの設定変更を行う場合は、最初にconfigureコマンドまたはenable-configコマンドを入力してグローバルコンフィグモードに移行してください。
プロンプトは「Router# 」です。

グローバルコンフィグモード

ルータ全体に関わる設定、確認等を行うモードです。
プロンプトは「Router(config)# 」です。

デバイスコンフィグモード

デバイス単位の設定を行うモードです。
プロンプトは「Router(config-GigaEthernet0)# 」のようにデバイス名を表示します。

インタフェースコンフィグモード

インタフェース単位の設定を行うモードです。
プロンプトは「Router(config-GigaEthernet0.0)# 」のようにインタフェース名を表示します。
その他、PPPやDHCP、BGP、IKEv2など、さまざまな機能の専用モードがあります。
詳しくは『機能説明書』をご参照ください。
../_images/5.2-1.png
すべてのモードは、exitコマンドで抜けることができます。
[Ctrl]+[Z]キーで、どのモードからでもEXECモードに移行したり、configureコマンドで、どのモードからでもグローバルコンフィグモードに移行したりすることも可能です。

このほか特殊なブートモニターモードがあります。

5.2.2. インタフェース表示の意味

インタフェースコンフィグモードの数字や記号は、それぞれ以下の内容を示しています。

../_images/5.2-2.png

デバイスコンフィグモードでは「device GigaEthernet2」のようにポート番号のみ指定します。

5.2.3. モード移行例

装置全体で有効な設定はグローバルコンフィグモードで行いますが、デバイスやインタフェースへの設定は、以下のモードで行います。

<デバイスの設定>

GE0などのデバイスを設定したい場合は、以下のコマンドで該当のデバイスコンフィグモードに移行します。

Router(config)# device GigaEthernet0
Router(config-GigaEthernet0)#

メモ

GE1の場合はGigaEthernet1のように読み替えてください。

項目

説明

device GigaEthernet0

GE0ポートのデバイス設定
speed/duplexの設定、SW-HUBポートの場合はポートVLAN設定やリンクアグリゲーションの設定などが行えます。

device USB0

USB0ポートのデバイス設定

<インタフェースの設定>

GE0などのデバイス上のインタフェースを設定したい場合は、以下のコマンドで該当のインタフェースコンフィグモードに移行します。

Router(config)# interface GigaEthernet0.0
Router(config-GigaEthernet0.0)#

メモ

  • GE1の場合はGigaEthernet1のように読み替えてください。

  • GE2をSW-HUBポートとしています。

項目

説明

interface GigaEthernet0.0

GE0の基本インタフェース設定
PPPoE/タグVLAN接続以外の単純なIP通信を行う場合に設定します。

interface GigaEthernet0.1

GE0のサブインタフェース設定
PPPoE/タグVLAN接続の場合に設定します。

interface GigaEthernet2:1.0

ポートVLANによるGE2の基本インタフェース設定
ポートVLANを設定した場合に設定します。

interface GigaEthernet2:1.1

ポートVLANによるGE2のサブインタフェース設定
ポートVLANおよびPPPoE/タグVLAN接続の場合に設定します。

「.0」で終わるインタフェースを基本インタフェース、「.1以上」で終わるインタフェースをサブインタフェースと呼びます。

このほかにも、LoopbackやNull、Tunnel、BVIなどのインタフェース設定があります。

5.3. ログインとユーザー権限について

5.3.1. ユーザー権限

ユーザー権限は3種類あります。
どのユーザー権限でログインしているかは、プロンプトの表示で判別できます。

権限

実行できるコマンド

プロンプト

アドミニストレーター権限

すべてのコマンドを実行することができます。

プロンプトの末尾は「#」となります。
Router#

オペレーター権限

設定を変更するコマンドは実行できません。
ほとんどのshowコマンドと、pingなどの保守コマンドを実行できます。
show ikev2 saなどの暗号化の鍵情報を含むshowコマンドは実行できません。
プロンプトの末尾は「$」となります。
Router$

モニター権限

オペレーター権限に加えてコンフィグを表示するコマンドが実行できなくなります。

プロンプトの末尾は「%」となります。
Router%

5.3.2. ログインユーザー設定

ユーザー登録とユーザー権限の設定は、グローバルコンフィグモードもしくは初期ユーザー登録モードでusernameコマンドで行います。
以下の設定例は、ユーザー名 test-user2、パスワード test-pass2、モニター権限で設定しています。
Router(config)# username test-user2 password plain test-pass2 monitor
% Password strength estimation: score 2(normal).
Router(config)#



.. code-block:: ixconsole

   Router(config)# show running-config
   username test-user password secret 22B7aeD7aF2F40E682D8aE6f8FE466@ administrator

   <省略>

メモ

すでに登録されているユーザー名を入力しようとすると、エラーメッセージが表示されます。

Router(config)# username test-user password plain test-pass administrator
% User 'test-user' is already configured.
Router(config)#

5.3.3. ログインパスワードの変更

ログインしたユーザー自身のログインパスワードを変更できます。
変更はグローバルコンフィグモードでpasswordコマンドで行います。。
以下の設定例は、ユーザー名 test-user2、パスワード test-pass2、モニター権限でログインしたユーザーのパスワードを、 test-pass3 に変更しています。
Router(config)% password test-user2 test-pass3
% Current user's password has been changed.
Router(config)%

注意

passwordによるパスワードの変更は、ログインしたユーザー名のパスワードのみ変更できます。
他のユーザーのパスワードを変更することはできません。

5.3.4. ログインユーザーの削除

登録済みのログインユーザー設定を削除することができます。
削除はグローバルコンフィグモードでnoコマンドで行います。
Router(config)# no username test-user2
% User 'test-user2' has been deleted.
Router(config)#

メモ

アドミニストレーター権限でログインする必要があります。

メモ

アドミニストレーター権限のユーザーが1つだけの場合、ユーザー設定を削除することはできません。

Router(config)# no username test-user
% Can't remove 1 administrator entry.
Router(config)#

5.3.5. ログイン

登録したユーザー名とパスワードでログインします。
以下の設定例は、ユーザー名 test-user、パスワード test-pass でログインしています。
login: test-user
Password: test-pass
Last login: Thu Mar  7 07:14:28 JST 2024 on ttyS0

NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE
Compiled Wed 06 Mar 2024 01:49:55 PM JST
Copyright (c) NEC Corporation 2023. All rights reserved.

Router#

注意

アドミニストレーター権限のユーザー登録がない状態でのログイン時には、再度初回ログイン専用のユーザー名admin、パスワードadminでログインします。

5.3.6. 複数ユーザーのログイン

複数ユーザーがアクセスする場合、各モードに入ることのできるユーザー数には、以下の制限があります。

モード

ユーザー数

EXECモード

ローカルコンソール

1ユーザー

SSH/Telnet

合計8ユーザー

コンフィグモード

1ユーザー(ローカル、リモート、Webコンソールを含め)

設定の競合を防ぐため、コンフィグモードに滞在できるユーザー数は1ユーザーまでです。

メモ

ログイン権限に関係なくユーザー数はカウントされます。

<タイムアウトによる強制ログアウト>

コンフィグモードに入っていたユーザーはコマンド入力を一定時間行わないと、強制的にログアウトされます。
タイムアウト時間は、terminal timeoutコマンドで設定できます。
デフォルトでは60分です。

<コンフィグモードへの強制移行>

すでに別のユーザーがコンフィグモードに滞在している場合、configureコマンドまたはenable-configコマンドではコンフィグモードに移行できません。
自身が強制的にコンフィグモードに移行したい場合は、svintr-configコマンドで対応できます。
それまでコンフィグモードに滞在していた別のユーザーはEXECモードに移行します。
Router# configure
% CONFIG process is occupied.
% You may use `svintr-config' command with administrator privilege.
Router# svintr-config
Router(config)#

5.4. LANポートの動作設定

LANポートの物理的な動作設定は、使用する環境に合わせて設定します。

5.4.1. 通信スピード、通信デュプレックスの設定方法

通信スピード、通信デュプレックスの設定は、デバイスコンフィグモードで行います。
なお、本装置のデフォルトは通信スピード、通信デュプレックスともにオートネゴシエーション(以下「オートネゴ」と省略します)です。

<通信スピードの設定>

以下の設定例では、通信スピードを1Gbpsに固定設定しています。

my-router01# configure
my-router01(config)# device GigaEthernet0
my-router01(config-GigaEthernet0)# speed 1000
my-router01(config-GigaEthernet0)#

<通信デュプレックスの設定>

以下の設定例では、通信デュプレックスを全二重に固定設定しています。

my-router01# configure
my-router01(config)# device GigaEthernet0
my-router01(config-GigaEthernet0)# duplex full
my-router01(config-GigaEthernet0)#

注意

100BASE-TX/1000BASE-T/2.5GBASE-T/5GBASE-T/10GBASE-Tポートは、全二重のみに対応しています。

5.4.2. リンクアップについて

本装置と他の通信機器を接続する場合、以下の表に該当しない組み合わせでの動作は保証できません。

<100BASE-TX/1000BASE-T/2.5GBASE-T/5GBASE-T/10GBASE-T>

本装置の設定

対向機器の設定

スピード

デュプレックス

オートネゴ

オートネゴ

オートネゴ

オートネゴ

全二重固定

オートネゴ

10G固定

オートネゴ

オートネゴ

10G固定

全二重固定

オートネゴ

5G固定

オートネゴ

オートネゴ

5G固定

全二重固定

オートネゴ

2.5G固定

オートネゴ

オートネゴ

2.5G固定

全二重固定

オートネゴ

1G固定

オートネゴ

オートネゴ

1G固定

全二重固定

オートネゴ

100M固定

オートネゴ

オートネゴ

注意

本装置または対向機器の片方のみがオートネゴシエーション設定のとき、リンクが確立しないことがあります。
リンクが確立しても通信モードの不一致により転送効率が悪くなることがあります。
双方の通信モードを確認し、適切な通信モードに設定してください。

注意

通信スピードを1000BASE-T、2.5GBASE-T、5GBASE-T、10GBASE-Tに固定設定した場合でも、そのポートは内部的にオートネゴシエーションが動作しています。

<10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T>

本装置の設定

対向機器の設定

スピード

デュプレックス

オートネゴ

オートネゴ

オートネゴ

1G固定

オートネゴ

オートネゴ

1G固定

全二重固定

オートネゴ

100M固定

オートネゴ

オートネゴ

100M固定

全二重固定

100M 全二重固定

100M固定

半二重固定

100M 半二重固定

10M固定

オートネゴ

オートネゴ

10M固定

全二重固定

10M 全二重固定

10M固定

半二重固定

10M 半二重固定

<通信スピード、通信デュプレックスの確認>

現在動作している通信スピード、通信デュプレックスは、show devicesコマンドで確認できます。

Router(config)# show devices GigaEthernet0
Device GigaEthernet0 is up
  GigaEthernet status:
    Physical address is XX:XX:XX:XX:XX:XX
    Port status is up
    Full-duplex, 10G b/s, 10GBaseT, MDI
  :
  <省略>

my-router01(config)#

5.4.3. MDI/MDI-Xの設定方法

AutoMDI/MDI-Xは、LANポートの通信スピードと通信デュプレックスがオートネゴシエーションで動作している場合にのみ有効な機能です。
通信スピードと通信デュプレックスがともに固定設定されている場合、AutoMDI/MDI-Xは無効になります。
AutoMDI/MDI-Xが無効となった場合、MDI/MDI-Xのどちらで動作するかはポートごとにデフォルトで決まっていますが、mdi-mdixコマンドを使用して変更することもできます。

本装置

ポート番号

デフォルトの動作

IX-R2530

GE0/GE1

MDI

GE2(SW-HUB)

MDI-X

<MDI/MDI-X固定設定>

以下の設定例は、GE0をMDI-Xに固定設定しています。

my-router01(config)# device GigaEthernet0
my-router01(config-GigaEthernet0)# mdi-mdix mdix
my-router01(config-GigaEthernet0)#

注意

MDI/MDI-Xの状態が切り替わった場合、LANポートの物理リンクが一度ダウンします。

メモ

オートネゴシエーションが有効(通信スピードまたは通信デュプレックスが固定設定でない)の場合、MDI/MDI-X固定設定は無効となりAutoMDI/MDI-Xとして動作します。

<MDI/MDI-Xの確認>

現在動作しているMDI/MDI-Xは、show devicesコマンドで確認できます。
以下の例は、GE0をMDI-Xに固定設定しています。
Router(config)# show devices GigaEthernet0
Device GigaEthernet0 is up
  GigaEthernet status:
    Physical address is XX:XX:XX:XX:XX:XX
    Port status is up
    Full-duplex, 10G b/s, 10GBaseT, MDI-X
  :
  <省略>

5.5. コンフィグについて

コンフィグとは、本装置の動作を決める設定データを指します。
主にランニングコンフィグとスタートアップコンフィグの2つがあります。
現在のコンフィグをランニングコンフィグ、保存済みのコンフィグをスタートアップコンフィグと呼びます。
起動時にスタートアップコンフィグがDRAMにロードされてランニングコンフィグとなるため、起動直後は同じ内容です。
その後コマンドによる設定変更が行われると、ランニングコンフィグとスタートアップコンフィグの内容は異なったものとなります。

また、上記以外にデフォルトコンフィグとサービスコンフィグがあります。

../_images/5.5-1.png

5.5.1. ランニングコンフィグ

設定、変更したデータは、DRAMのランニングコンフィグに書き込まれています。
DRAMは通電していない状態では情報が消えてしまうため、ランニングコンフィグは本装置の電源がOFFになると消失します。

ランニングコンフィグは、show running-configコマンドから確認できます。

Router(config)# show running-config
! NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE
! Compiled Wed 06 Mar 2024 01:49:55 PM JST
! Current time Mar 07-Thu-2024 07:58:21 JST
!
timezone jst
!
username test-user password secret $1$9Q9RvCuoaa4uDCHimRgJAA==$kXtsO6RdrHkG8vUj/afoQ2hkxPh
:
<省略>

5.5.2. スタートアップコンフィグ

本装置の電源がOFFになってもコンフィグが消失しないように、ランニングコンフィグのデータ内容をスタートアップコンフィグとしてストレージに保存します。
工場出荷時の初期状態ではスタートアップコンフィグはありません。
スタートアップコンフィグへの保存は、グローバルコンフィグモードでwrite memoryコマンドで行います。
コンフィグ保存はスタートアップコンフィグへの上書きで行われます。
write memoryコマンドを実行すると、一時的にPOWERランプが青点灯しストレージにデータを書き込み中であることを知らせます。
書き込みが終わると、POWERランプは緑点灯しコマンドプロンプトが表示されます。

注意

POWERランプ青点灯中は、電源スイッチをOFFにしないでください。
ストレージのデータを破壊することがあります。

スタートアップコンフィグは、show startup-configコマンドから確認できます。

Router(config)# show startup-config
% Non-volatile configuration memory is not present
Router(config)# write memory
Building configuration...
% Warning: do NOT enter CNTL/Z while saving to avoid config corruption.
Router(config)# show startup-config
Using 1007 out of 2097152 bytes

! NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE
! Compiled Wed 06 Mar 2024 01:49:55 PM JST
! Current time Mar 07-Thu-2024 07:58:21 JST
!
timezone jst
!
username test-user password secret $1$JeTicGPCJbGASXQCcxfZAA==$8fKWbS9no9qI2MwStdRc98Ki011zk/Y8yjO
:
<省略>

スタートアップコンフィグはerase startup-configコマンドで削除することができます。

Router(config)# erase startup-config
Are you sure you want to erase the startup-configuration? (Yes or [No]): y

Router(config)# show startup-config
% Non-volatile configuration memory is not present

5.5.3. デフォルトコンフィグ

デフォルトコンフィグはスタートアップコンフィグが存在しない場合に、起動時にランニングコンフィグに読み出されます。
工場出荷時の初期状態ではデフォルトコンフィグはありません。
スタートアップコンフィグとは異なる事前設定を保存しておきたい場合に便利なコンフィグとなります。
デフォルトコンフィグへの保存は、グローバルコンフィグモードでcopyコマンドで行います。
デフォルトコンフィグは、show default-configコマンドから確認できます。
デフォルトコンフィグはerase default-configコマンドで削除することができます。
Router(config)# show default-config
% Non-volatile configuration memory is not present
Router(config)# copy running-config default-config
Router(config)# show default-config
Using 1007 out of 2097152 bytes

! NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE
! Compiled Wed 06 Mar 2024 01:49:55 PM JST
! Current time Mar 07-Thu-2024 07:58:21 JST
!
timezone jst
!
username test-user password secret $1$JeTicGPCJbGASXQCcxfZAA==$8fKWbS9no9qI2MwStdRc98Ki011zk/Y8yjO
:
<省略>
Router(config)# erase default-config
Router(config)# show default-config
% Non-volatile configuration memory is not present

5.5.4. サービスコンフィグ

サービスコンフィグは、マルチベンダ管理機能で使用されるコンフィグです。
詳しくは『機能説明書』をご参照ください。

5.6. よく利用するコマンド

5.6.1. EXECモードからグローバルコンフィグモードへの移行

EXECモードからグローバルコンフィグモードには、configureコマンドまたはenable-configコマンドで移行します。
モードを移行すると、プロンプトの表示が変わります。
Router# configure
Router(config)#

5.6.2. コンフィグ確認コマンド

現在のコンフィグ内容はshow running-configコマンドで確認できます。

Router(config)# show running-config
! NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.35, RELEASE SOFTWARE
! Compiled Wed 06 Mar 2024 01:49:55 PM JST
! Current time Mar 07-Thu-2024 07:58:21 JST
!
timezone jst
!
username test-user password secret $1$9Q9RvCuoaa4uDCHimRgJAA==$kXtsO6RdrHkG8vUj/afoQ2hkxPhHYQcTlvP

<省略>

interface GigaEthernet2.0
  no ip address
  shutdown
!
interface Loopback0.0
  no ip address
!
interface Null0.0
  no ip address

5.6.3. コンフィグ保存コマンド

コンフィグ保存はwrite memoryコマンドで行うことができます。

Router(config)# write memory
Building configuration...
% Warning: do NOT enter CNTL/Z while saving to avoid config corruption.
Router(config)#

5.6.4. 再起動

reloadコマンドにより本装置を再起動することができます。

Router(config)# reload
Notice: The router will be RESTARTED.
Are you sure you want to restart the router? (Yes or [No]): y

5.6.5. 設定の初期化 (erase startup-config)

本装置に保存したスタートアップコンフィグは、erase startup-configで削除できます。
削除後、本装置を再起動することで設定が初期化されます。
Router(config)# erase startup-config
Are you sure you want to erase the startup-configuration? (Yes or [No]): y
Router(config)# reload
% Warning: current running-configuration is not saved yet.
Notice: The router will be RESTARTED.
Are you sure you want to restart the router? (Yes or [No]): y

5.6.6. 設定の初期化 (スーパーリセット)

ログインパスワードを忘れてログインできない場合は、スーパーリセットまたはINITスイッチによりパスワードを初期化することができます。

注意

初期化を行うと、工場出荷時の初期状態となります。
ランニングコンフィグ、スタートアップコンフィグ、デフォルトコンフィグ、サービスコンフィグは消去されます。

メモ

初期化を行っても、日付、時刻の値は保持されます。

メモ

スーパーリセットはローカルコンソールからのみ実行可能です。

<スーパーリセットによる初期化手順>

  1. 電源スイッチによる本装置の再起動
    本装置にローカルコンソールを接続した状態で、電源スイッチをONにします。
  2. ブートモニターモードへの移行
    起動時(「factory mode (Input Ctrl+C):」表示中)に[Ctrl]+[C]を押し、ブートモニターモードに移行します。
factory mode (Input Ctrl+C): 2.   ← [Ctrl]+[C]
boot[0]>
  1. スーパーリセット実行
    ccコマンドを実行し、スタートアップコンフィグおよびデフォルトコンフィグを削除します。
boot[0]> cc
Enter "Y" to clear startup configuration: y
boot[0]>
  1. ルータソフトウェアの起動
    bコマンドを実行し、ルータソフトウェアを起動します。
boot[0]> b
quit

Model:IX-R2530 Board
       Watchdog enabled
DRAM:  3.9 GiB (DDR4, 32-bit, CL=11, ECC off)
Using SERDES1 Protocol: 4403 (0x1133)
MMC:   FSL_SDHC: 0
SEC0:  RNG instantiated
Net:
MMC read: dev # 0, block # 103808, count 128 ...
Fman1: Uploading microcode version 106.4.18

Trying load from eMMC ..

MMC read: dev # 0, block # 1064960, count 131072 ... 131072 blocks read: OK
ethernet2: ether-if-index=2
ethernet6: ether-if-index=0
ethernet7: ether-if-index=1
ERROR:   No descriptor returned from SECPCIe1: pcie@3400000 disabled
PCIe2: pcie@3500000 disabled
PCIe3: pcie@3600000 disabled

Starting kernel ...

<省略>

Router login:

<INITスイッチによる初期化>

本装置のINITスイッチを押しながら、電源スイッチをONにします。
そのままINITスイッチを押し続けると、ZTP、PWR、ST1、ST2、VPN、PPP、BAKの7つのランプが同時に緑点滅して、初期化開始を通知します。
ランプが点滅したあとにINITスイッチを離してください。
初期化が完了すると、本装置は自動的に再起動を行います。

注意

スイッチの操作は、先の細い棒状のもの(電気を通さない材質のもの)を使用して行ってください。